90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

クリームパン

物は言いよう

友人たちと「いつかみのもんたに『お嬢さん!』って呼ばれたいね」と言い合いながら年を重ねてきたというのに、あの番組も終わってしまった。我が家は家族全員近眼で、近所の眼鏡屋さんに非常にお世話になってきたのだけれど、その眼鏡屋さんにGLAYのJIRO(全…

定義

紅いということはできない、色ではなくりんごなのだ。丸いということはできない、形ではなくりんごなのだ。酸っぱいということはできない、味ではなくりんごなのだ。高いということはできない、値段ではないりんごなのだ。きれいということはできない、美で…

不都合な真実

小学校時代の友人と「同窓会やろうか」という話が出ている。友人はとても張り切って「知ってる人全員に声かけるからね、まめも協力してね」と言う。 そんな折、LINEの友だち追加リストの中に懐かしい名前が飛び込んできた。小6から中1にかけて好きだった男の…

何とも言はばいへ

今月上旬、早稲田松竹でルキーノ・ヴィスコンティの「山猫」と「ベニスに死す」の2本立て上映があったので行ってきた。 上映時間が5時間を超える長丁場なので、クリームパンを持参して。 個人的に「山猫」の方が好みであった。オープニングの時点でもう、そ…

孤独の肖像

「暮らすって物要りねえ」と、魔女の宅急便のキキもうんざりして言っていたけれど、一人暮らしを始めた頃は怖くなるほどお金がどんどん出て行った。 家電も一通り買い揃えなければならないし、電話加入権も高かった。 それで布団と包丁は実家からもらってき…

華麗なる裏切り

「その夜、愛と裏切りの幕があがる」というキャッチコピーをつけて、劇団四季が上演した三島由紀夫の戯曲「鹿鳴館」 その中にこんな台詞がある。 奥方様ほど巧く美しくおだましになる方はございませんわ。(中略) 裏切りの上に安楽に寝そべって、一生を送れ…

いい人どまり

ヤマダという、名前が平凡な割にアクの強い性格の友人がいる。 悪い奴ではないのだが、そのアクの強さ故、まるで女にモテない。 学生時代のある日、そんなヤマダを不憫に思った先輩たちがルノアールに集結し、ヤマダが女子にモテるための作戦会議が開かれた…

【/^o^\フッジッサーン】

高校生の頃、何かに取り憑かれたかのように夢中になって聴いていたアルバムが小沢健二の「LIFE」と筋肉少女帯の「レティクル座妄想」と電気グルーヴの「VITAMIN」だった。 「桃栗三年柿八年柚子は九年で成り下がる梨のバカ目が十八年」という言葉を覚えたの…

坊主憎けりゃ

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、と言いますね。 あのドラえもんだって、ねずみが嫌いすぎて「ねずみ」という単語を聞いただけでこんなにも飛び上がる。イソップ寓話を元に寺山修司が書いた「王様の耳はロバの耳」というミュージカルでは、ロバのような耳をした王…

死に至る病

クリームパンの記事数ももう70を超えた。つまりもう70個以上のクリームパンを食べているわけで、費やした金額は一体いくらになるのやら・・・。そのうち家が建つほどになってしまうのではないか・・・というのは冗談にしても、糖尿病が心配になる今日この頃…

VSOP

かなり童顔な方だ。 おかげで25歳になっても居酒屋に入るときは身分証の提示を求められたし、ファミレスに22時を過ぎて滞在しようものなら「失礼ですがお客様・・・」と声をかけられた。 「童顔でさあ、困っちゃうよねー」とか言いながら、何にも困っておらず、…

小人さんいらっしゃい

面倒くさがりなもので「裁断した革を置いておくと、夜中に小人が出てきて、靴を作ってくれる」というグリム童話の「こびとの靴屋」という話が結構好きだ。 それで、若かりし日の私は母の手伝いをしながら事あるごとに「ああ、この洗ったお皿もこのままにして…

たまご その愛

2種類のクリームパンを置いて、クリームパンを可愛がっているお店、ボヌールの、もう一つのクリームパンは「愛たまごのふんわりくりぃむぱん」 こういう、サービスエリアに置いてあるお土産みたいな「ふんわりくりぃむぱん」とかいうネーミングってどうなの…

ヨネスケスキル

「突撃!隣の晩ごはん」も気付けば放送終了していたのだな。全く知らなかった。 今でもヨネスケは大きなしゃもじを背に全国のご家庭を走り回っているのだと思っていた。 「あんな風に急にテレビに来られたら困るよね!」と友達同士で、ヨネスケが来た場合のこ…

一番星ブルース

会社の給湯室から首都高を見下ろしていたら、通り過ぎるトラックの天井に「男 ひとり旅 女 帰り道」という一番星ブルースなメッセージが書かれていて、おお、と感心する。 最近時代が変わったせいか、あまりこういう浪花節文句をきかないけれど、私は割とこ…

死亡フラグ

※この物語はフィクションです。 うららかに春の陽射しがふりそそぐ住宅街の片隅に、カフェ併設のパン屋さんが可愛らしく佇んでいる。 店内は家族連れや恋人たちで溢れ、彼らは皆幸せそうな微笑みを浮かべ、穏やかな週末を楽しんでいるようだ。黒板に書かれた…

愛だけでは

会社の近くのパン屋さんは、朝早くから開いていて、良心的なお値段のお惣菜パンがずらりと並んでいる上に、こんなレトロフレンチな紙袋に入れてくれるので、キュンとして思わずシルヴィ・バルタンなんか口ずさんでしまいそうになる。夕方にはほとんどパンが…

普通の女

「3びきのくま」という非常にシュールな童話があって、女の子が森の中で無人のクマの家を見つけ、勝手に中に入る。そこにはお父さん、お母さん、子供用に大中小のスープが並んでおり、女の子は勝手に「これがちょうどいいわ」とか言いながらスープを飲んで…

お母さんの言うとおり

春なので、毎朝の通勤ラッシュがひどい。 まだ電車に乗り慣れない学生さんたちがおどおどと奇妙な位置に立ち止まったりするせいだ。おまけに彼らは部活動の用具やら何やらと、やたらと大荷物だ。 昨日もそんな大荷物に足元を阻まれてマトリックスな体勢にな…

悲しみよこんにちは

ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名前をつけようか、私は迷う。その感情はあまりにも自分のことだけにかまけ、利己主義的な感情であり、私はそれをほとんど恥じている。 フランソワーズ・サガン「…

ええじゃないか

スーパーの入り口ですれ違った親子連れの、小学校高学年らしき男の子は飛び跳ねながら言っていた。 「ええじゃないか!ええじゃないか!!」ええじゃないか - Wikipedia今日の今日まですっかり忘れていた、あまりに懐かしい響きに私は目を見開いてドラマティ…

怖いもの知らず

子供の頃は自分の住んでいる街が日本で一番大きいのだと思っていた。 いつも自分が使う駅を日本で一番大きな駅だと思っていたし、この街に住む人に悪い人は一人もいないと信じていた。 だからこそ、子供は無邪気だ、イノセントだと言われるのだろう。クリー…

草食系

草食系男子、という言葉が生まれたのは2006年の事だそうだ。 まるで大発見のように世の中が「最近の男はガツガツしていない!」と騒ぎ立て、女たちは「草食系とか、ないわー!」と憤っていたが、男の子がガツガツしていない事は、そんなに新しい発見であろう…

先輩の教え

モンゴメリの小説「赤毛のアン」の中でアンとダイアナは腹心の友として、お互いに絶対に結婚しないと誓い合う。 「私たち、感じのいいオールドミスになりましょうね!」と。別にそう誓い合ったわけではないのだけれど、感じがいいかどうかはともかく、お互い…

上・京・物・語

東京というのは本当に不思議な街だ。 おしゃれなビルが立ち並ぶ大通りを一本裏に入っただけで、ドラマのセットみたいな、「今時これはないだろう」と言うような、古い、小さな家がひしめき合っている。 崩れかけた家が両隣の家に支えられてかろうじて建って…

お茶と宇宙と英国と

ずいぶん前に下のツイートが回ってきて、ほう、と思った。英国人が書いたお茶に関する本に、英国、中国、日本のお茶についての記述があり、日本だけおかしかった。英国はお茶を入れる温度や一緒に食べるケーキ、中国もおいしい淹れ方にこだわる。だが日本人…

その先の日本へ

私鉄沿線育ちの者にとって、JRとはなんとも無骨な電車に思える。 私鉄が野口五郎なら、JRは高倉健みたいな。 まあ、これは「私鉄沿線」と「鉄道員(ぽっぽや)」そのままのイメージだけど。 大昔からあるので駅も古いし、乗り換えもわかりにくい。にも関わら…

蒼いうさぎ

思えば、うさぎに対する苦手意識が芽生えたのは、小学校時代の飼育当番の時だ。 6年生のお姉さんに連れられて、夏休みにうさぎの飼育小屋に初めて入った。 ドスドスと飛び回る白いうさぎ。お尻の周りは茶色く汚れ、目は赤く、口をもぐもぐさせている。 ひい…

出来杉くんと松井さん

松井秀喜選手が国民栄誉賞を受賞したのですね。長嶋、松井両氏に国民栄誉賞:巨人:スポーツ報知私はどうもあの5打席連続敬遠の高校時代から、彼のことがあまり好きになれないのだけれど、前の会社の同僚は、心の底から松井を尊敬しているようで、ある日興奮…

コメディエンヌ

疲れてるのかしら・・・私。トム&ジェリーだとかディズニー映画のコメディタッチなお約束行動様式が無性に見たい。 追いかけっこして、気付いたら崖を通り越して空中で足をフル回転させながら、あーれー!と下に落ちていくやつとか、 走り出す前に一旦逆方…