90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

旅の始まり

学生時代の友達と時々、行く宛のない旅をしていた。
行き先は会ってから決める。曲がりたい曲がり角を曲がる。ずっと下道。
いつからか、行き先を決めるようになって、高速を使うようになった。
「時間を金で買うんだ」と言って。
少し残念だけど、不慣れな高速で、サービスエリアに寄ると
「ああ、これから旅が始まるんだ」と思った。
サービスエリアでは、いつもなぜか、普段は食べない、コロッケ蕎麦が食べたくなった。
何故だか、あの変に薄青い蛍光灯の下で安いコロッケ蕎麦を食べると
宛もなくどこかに彷徨うような気持ちになるのだ。それは今でも。

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風の強い土曜日、三軒茶屋の、ちょっとキッチュな見た目のお蕎麦屋さん「かしわや」で
コロッケ蕎麦を食べた。
ここから電車で、定期券を使って帰るのに、なんだか少し、旅に出るような
遠くまで来たような気持ちになった。