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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

三十六の夜

年のせいか、いや、それ以外に理由などあり得ないけれど、最近自分の年齢がわからなくなる。
それと言うのも前のめりのせいだ。誕生日が来た瞬間に思う。
「ああ、来年は三十七か」
それで、一年の間ずっと、三十七になる来年の事を考え続け、年が明けたらもう三十七歳気分になり、いざ誕生日が来たら「やだ!もう三十八!?」と愕然とする。
そのせっかちな前のめりも、おばはんの特徴であるのは確かだが、どれだけ加算するつもりなのだ。
まず落ち着こう。今は三十六!まだ三十六。

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「いつまでふらふらしてるつもりなの」と人はいうけれど、私だって大人としてそれなりに大人らしく、真面目に税金も納め、会社と自宅を往復して地味に頑張って生きているつもりなのよ、ふらふらって何、ふらふらって。
…と憤ってみたりもするけれど、やはり暖かくなってくると、ふらふらが許される身分ゆえ、どこかへふらっと行ってしまいたくなるのだ。
会社と自宅との往復に息が詰まって妙に疲れ果ててしまって。

「とにかくもう、学校や家には帰りたくない!!!」と絶叫する勢いで、今日は会社帰りにいつもの電車に乗るのをやめて、ふらふらと東京の川べりを歩いた。
1時間ばかり歩いて、不慣れな街の路地裏でコーヒーを飲んだ。
たった一つ隣の駅まで歩いただけなのに、少し、深呼吸できた気がした。
人は「小さい」と笑うかもしれないけど、三十六の夜にはこれで十分だ。
十五の夜には盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎の窓ガラスを割ったりしないと納得いかなかったのかもしれないけれど。
そう思うと、大人になって良かったわ、ホント。ちょっと楽になったもの。


愛すべきものすべてに BEST

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