90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

高級

嘘か本当か知らないが、昭和天皇が今半でご飯を食べた際に、炊きたてのご飯にお醤油をかけて食べたものが人生で一番美味しかったと仰った、という話を聞いた事がある。
それを聞いて、心底「なんとお可哀想に!」と思ったものである。
もしも許されるのであれば、鰹節とネギをお醤油で混ぜてご飯にかける猫まんまも、お肉屋さんで揚げたての1個80円のメンチカツも、厚揚げの焼いたのにじゅっとお醤油垂らしたのも、とれたての鰯のお刺身も、ゆず酢の酢飯が入ったお稲荷さんも、串に刺した玉こんにゃくも、サバ缶もうぐいすパンもカレーせんべいもあれもこれもぜーんぶ天皇陛下に食べさせて差し上げたかった・・・。

かつて祖父母の家に山のようなお中元お歳暮が贈られていた頃、おすそわけで頂いた高級デザートなどを食べながら家族でぼやいたものである。
「名物にうまいものなし、とか言うけどさ、高級品にもそうそう美味しいものってないわね」
まあ、我々の舌が貧乏人の舌なだけかもしれないが、それにしたって、気取った菓子折りに入った色とりどりの可愛らしいお菓子や考え尽くされたデザインの容器に入れられたゼリーなど、どれもこれも大概ぼやーっとした味だったり、香料がやたらと強かったりしてイマイチなのであった。

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そして高級クリームパン。
今時「高級」という言葉がつくのは「高級羽毛布団」位のものなのではないかと思うが、ヤマザキは「高級ジャムパン」だの「高級あんぱん」だの高級シリーズを誇らしげに並べている。
そしてご多分にもれず、これがイマイチなのであります。
ヤマザキは高級クリームパンより、普通のクリームパンの方がずっと美味しいじゃない。どうしてわざわざ高級なんて言いたくなっちゃったの・・・。

ヤマザキ 高級クリームパン 118円
パン:ふっくらとした普通のパン
クリーム:若干香料が気になる。
☆☆☆

そんなに肩肘張って縦書明朝体で「高級クリームパン」なんて言わなくても、ちょっと浮かれた影付き書体で「クリームパン」て言ってた、ありのままのあなたでいいんだよ。
天皇陛下に食べさせてあげたくなるのは、高級じゃない方のヤマザキなんだよ。