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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

どうでもいい執念

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こう毎日毎日クリームパンを探し求め、クリームパンばかり食べていると、我に返って「何をやっているのだ、私は」と、思わない訳ではないのだ。
おしゃれベーカリーで、みんなが「何にするー?」なんてウフウフしている中、「クリームパンはいねがー!クリームパンはどこだー!」となまはげのように目を血走らせ、クリームパンがなければ「けっ、気取ってやがるぜ!何がハード系だ!天然酵母だ!」と心の中で悪態をつくなど、どう考えたって正気の沙汰ではない。

クリームパンを噛み締めながら不毛な己をうっかり振り返ってしまった時には、いつか日経新聞で読んだ記事を思い出すことにしている。
まだ私が高校生だったある日、母親が大笑いしながら「これ読んでみて!」と差し出した日経新聞には、お弁当によく付いてくる魚の形をした醤油入れについての大真面目な研究論文が掲載されていた。
それによると、あの醤油入れはそれぞれ種類によってヒレの長さやら体長やらが違うのだそうで、どこどこ製のものは尾びれが何センチなどと事細かに書いてある。何より印象的だったのは、筆者が魚型の醤油入れ採集のために、河原にゴミ漁りに行く下りだった。
確かに河原などでは、バーベキューやピクニックによって、ああいうゴミもたくさん出るだろう。
それをわざわざ探しに行く。エコでも環境の為でもなんでもなく、ただ、興味があるから。
・・・なんという・・・・全く本当になんという、超どうでもいい執念!

大笑いしながら切り抜いたはずのあの記事も引越しのどさくさなどでいつの間にかなくなってしまい、書いた人の名前も忘れてしまったが、調べた所、もしかしたらこの人かもしれない。・・・こんな事するのはきっとこの人くらいのものだろうしね。

醤油鯛

醤油鯛


思えば、人の趣味などは大概不毛でどうしようもなくてどうでもいい時間の無駄なものだ。
パチンコ然り、野球観戦然り、競馬然り、おばさま方のタオルで作る人形やらチラシを丸めて編んでつくるゴミ箱然り。
そしてそういう不毛なものに、理解し難い情熱やどうでもいい執念をもって取り組んでいるのだ、みんな。
そう。そうでしょう?だからいいじゃん、私が毎日アホのようにクリームパンを食べて、どうでもいい事言ったって。

・・・という元気をくれるので、私は折にふれて何度も何度もあの魚の醤油入れの人を思い出すことにしている。
さあ、またなまはげのように険しい目つきでクリームパンを探しに行こう。