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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

聖地にて

クリームパンをインターネットで検索すると、結構上位で神楽坂の亀井堂が出てくる。
食べログでも高評価を得ており、なんでも1日に400個も売れるとのことだ。
2ちゃんねるのクリームパンスレでも「亀井堂のクリームパンはもう食べましたか?」などと書かれており、もはやここはクリームパンの聖地的扱いである。ならば行こう。行くしかあるまい。

・・・と勇んで出かけた亀井堂はやはりクリームパンがウリの店で、入り口にはクリームパンを模したキャラクターのポスターが貼られているし、店員さんは「テレビでも紹介されましたー!」と声を張り上げている。
お値段は一つ220円。さすが聖地。結構なお値段だ。持ち上げて見るとずっしりと重い。

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待ちきれずに、購入した後にすぐ店内で食べることにした。
先日食べたEpi-cielのクリームパンは、まるで孕み猫のお腹のようで私を切なくさせたものだったけれど、ここのクリームパンは小錦のお腹のようにでっぷりと垂れ下がり、感傷どころか横綱土俵入りのような迫力で挑んでくる。それではいざ立ち会い!

・・・・・・・うーーーーーーーーーーーん。うーーーーーーーーーーーーーん。
確かにクリームの量は横綱級でずっしりどっしり入っているけれど、プリンのようなクリームで・・・正直そんなに・・・そんなに・・・両手をあげて「美味しい、こんなの初めて!」と言うようなクリームパンじゃない気がしてしまうんですよ、私。

亀井堂(東京都新宿区神楽坂) クリームパン 220円
パン:ふっくらしていて皮がうすい
クリーム:プリンみたいな味のクリームがこれでもかと言うほど詰まっている
☆☆☆

例えば聖地メッカとか、サンティアゴ巡礼の最終目的地サンティアゴとか、そういう憧れ抜いた目的地に着いた時に、他の人みたいに上手に、心から感動できず、なんとなく拍子抜けな感じになってしまった人は、一体どうしているのだろう。

私は昔から鈍臭くていつもそういう物事に乗り遅れてしまう。子供の頃初めて見た盆踊りでさえ、みんなが取り憑かれたように楽しそうな顔でやぐらの周りを囲んで踊っているのが恐くて大泣きしたもんだ。そうやって、みんなと同じような熱狂の波にうまく乗れなくて、いつだって何か掴み損ねてしまう。
まあ、もう、しょうがないんだけど、しょうがないんだけど、やっぱり今日も乗り損ねたな、と店を出て一つ、溜息をついた。
メッカでもエルサレムでもサンティアゴでも、きっとそうやって途方に暮れる人が一人くらいはいるんじゃないだろうか。
聖地で、ぼんやりした顔で「あーあ、また乗り損ねた」って溜息をつく人が。