90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

約束

今週のお題「お花見」


有給をとって友達とお花見バスツアーに行ってきた。
三島大社、富士山浅間大社身延山という、去年と全く同じコース。
桜にはちょっと遅い季節だし、あいにくの雨だったけれど、三島大社についたら随分小降りでこれもまた風情があっていい。

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地面に桜の花びらがたくさん落ちているのを眺めてから、三島大社で一番楽しみにしていた「福太郎」を食べる。
えびすさんの烏帽子をかたどったあんこのついた草餅でこれが二つと緑茶がついて200円。

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「えびすさんの烏帽子」のはずなのだけれど、どうしてもリーゼントにしか見えなくて、去年はこれを見ながら「安岡力也は大丈夫かしらね」という話をした。力也はもう亡くなってしまった。
そんな話をしたね、と言い合いながら、でもやっぱりリーゼントにしか見えない私たちは、「リーゼントを削ると藤岡琢也みたいだ」と言ってまた大笑いした。

浅間大社へ向かう途中で幸運な事に雨が上がって、富士山の麓に水平な虹がかかっているのを見た。


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これは富士山浅間大社の湧玉池。「去年はこのほとりに鶏が2羽いたね」と、鶏を探したら1羽になっていた。
でも、浅間大社の入り口に立派な雄鶏がたくさんいて、コケコッコーと、お手本通りに勇ましく鳴いているのを見つけた。
来年はこの鶏を探すのだろう。

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それから身延山
枝垂れ桜で有名なこの場所は、去年来た時はまだ開花には早くて、今年はもうほとんど散ってしまっていた。
それでも、少しは残っていて、桜の写真を撮ったり、お堂の畳に座り込んで、天井に描かれたボストン美術館展みたいな立派な竜の絵を眺めたりした。

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桜の代わりに、つつじや木蓮が咲き誇っていた。

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昔、祖父が最後の入院をする前だったか、母に言われたことがある。
「できるできないなんてどうでもいいの。一緒にどこかに行こうねって約束してあげなさい。そういう楽しみができるだけでおじいちゃんやおばあちゃんは元気がでるの。楽しみを作ってあげることが大切なの」

去年のことを昨日のことのように鮮明に思い出して、「また来年も来ようね」と言い合う帰り道、母のあの言葉が頭をよぎっていた。
その約束が守れるか守れないかなんてどうでもいい。
でも、もしも来年もまたこうやって友達とここに来て、福太郎のリーゼントに大笑いできたなら、それはなんと幸せなことだろうか。