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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

怖いもの知らず

クリームパン

子供の頃は自分の住んでいる街が日本で一番大きいのだと思っていた。
いつも自分が使う駅を日本で一番大きな駅だと思っていたし、この街に住む人に悪い人は一人もいないと信じていた。
だからこそ、子供は無邪気だ、イノセントだと言われるのだろう。

クリームパンを食べ始めた頃の私とて無邪気にクリームパンを信じていた。
程度の差こそあれ、クリームパンはどれもみんな美味しいものだということを疑いもしなかった。
だから、八天堂のべちゃべちゃクリームパンを食べた時には心底驚いたし、粉のやたらと強い、炊き上げたようなカスタードクリームには、こんなクリームまだあったのか、と笑ってしまいながら食べた。
あの頃は、怖いもの知らずだった。

いくつもいくつもクリームパンを食べてくると、段々クリームパンを信じられなくなるものだ。
「このクリームパン、嫌な予感がする」とか、「匂いが既にヤバい…」とか疑いの眼で見てしまう。
私はまるで知らなかったのだ。
世の中には、私好みのクリームパンよりも、私の苦手なクリームパンの方がずっと多いのだという事を。

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手造りパンとケーキの店あおば (横浜市青葉区榎が丘) クリームパン 110円
パン:ふつう
クリーム:すごく粉っぽく炊きあげたクリーム・゚・(ノД`)・゚・

最近では、不安を通り越し、クリームパンを食べるの怖くなった。
祈るような気持ちで口に入れ、「ああ、またか」と、粉の強いカスタードクリームや強い香料に涙し、この先の後味を思って、もう食べ進むことができない。まだ無邪気だった頃は、なんだこれ、と笑いながら食べ進むことができたのに。
まるで給食を食べ残したまま掃除の時間を迎えてしまった小学生のようだ。
胸の内は悲しみでいっぱい、頭の中は「残すか、食べきるかそれが問題だ」とハムレットの如く悩みいっぱい、瞳は涙でいっぱいにして考える。

もうこの先の人生に於いて二度と、無邪気で無垢な気持ちでクリームパンを食べることはできないんだろうか、と。

それから、毎度の事だが「何をやっているのだ、私は」と。
一体何の修行なのだ、これは。何故、眼に涙をいっぱい溜めてまでクリームパンを食べているのだ。なんなの、このバカ。私のバカバカ。