90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

不都合な真実

小学校時代の友人と「同窓会やろうか」という話が出ている。友人はとても張り切って「知ってる人全員に声かけるからね、まめも協力してね」と言う。
そんな折、LINEの友だち追加リストの中に懐かしい名前が飛び込んできた。小6から中1にかけて好きだった男の子。転校という形で別れてしまい、何の進展もなかったおかげでいつまでも心の中の「美しい思い出」リストに入っていて、時には突然の再会なんて妄想もしたりした男の子。
・・・いや、もう相当おっさんなんだろうけど。結婚したっていつか噂で聞いた。聞かないふりをした。もう子供だっているんだろう。

もっとずっと若い時だったら「えーーーもしかしてフジイ?超久しぶりーーー!元気?」ってメッセージを送れた。でも今はもう無理。知りたくなくて会いたくない。いつまでも空想の中で突然の再会ができる素敵な男の子であって欲しい。
友だち追加リストを見ながら、職場のトイレで私は恐ろしさに震えていた。
この年になったら、いつまでも空想ばっかりしていられない、わかってる。否応なしに現実を受け入れなければいけない、わかってる。でも、だったら知らないままでいたい。

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ポンパドウル 横濱クリームパン 136円
パン:アーモンドがついてる
クリーム:卵の強いクリームがぎっしり
☆☆☆

横浜元町生まれのベーカリー、ポンパドウルは子供の頃憧れのお店だった。あのポンパドウルレッドと呼ばれた赤い紙袋。山手にあった親の知人の家に遊びに行くと、あの紙袋におみやげを入れて渡されたりした。
けれど、そんな憧れや思い出や思い入れとは裏腹にクリームパンが美味しくない店が多いことを、もう今の私は知っている。だから、この店で「横濱クリームパン」と名付けられたクリームパンを買う時も賭けのような気持ちだった。
どうか、美味しくないクリームパンではありませんように!どうか香料が強くありませんように!

一口齧って一瞬「香料?」と思ったけれど、ギリギリセーフな感じだった。すごく美味しいわけでもないけどまずいわけでもなくて、その事に心底ホッとした。
けれど、それは贔屓目かもしれない。ただの願望かもしれない。
不都合な真実を認めたくないだけの、憧れは憧れのまま置いておきたいたけの、私の現実逃避なのかもしれない。

・・・ポンパドウルが神奈川限定じゃなくて全国展開だったことも、できる事なら知らずにいたかった不都合な真実