真実はいつもひとつ
年の離れた弟達は、小さな頃「金田一少年の事件簿」に夢中だった。それで、一生懸命金田一少年の決め台詞を真似していたものだ。
「じっちゃんになりかけて!!!」・・・って。
NO!「じっちゃんになりかけて」じゃなくて「じっちゃんの名にかけて」でしょう!なりかけないで、老人に!
あの頃は可愛らしかった。
それからだんだん大きくなって、男の子はどうしてあんなに推理モノや殺人モノが好きなのか、今度は「名探偵コナン」にハマって、コミックスを買い集めていた。
「超面白いからさ、読みなよ!」と貸してもらったものの、当時既に私は一人暮らしをしていたので、恐怖で眠れなくなってしまい、コナンを読むのはやめた。あの真っ黒な影で描かれる犯人の顔とか、恐ろしいにも程がある。
そんなコナンが気恥ずかしいほど大きく描かれた「オレンジジャムとクリームのパン」なるものが生協で118円で売られていた。「クリームパン」ではなく、「クリームのパン」
この「の」に隠されたトリックを暴いてやる。真実はいつも一つ!
袋から出してみたところ、ハンバーガーバンズのようなパンが上下合わさったものだったので、思い切って開いてみる。
そして無邪気を装う江戸川コナンのように言ってみる。
「あっれれーーーー?蘭ねえちゃん!このパン、なんかおかしいね!すっごく中身が少ないね!」
・・・クリーム、というか、無塩マーガリン?コクのないクリームチーズ?のようなもの?・・・に、びしゃっとママレードをスプーン一杯分叩きつけた、この無慈悲なパンは、本当に経済大国日本の製品なのか。
これを118円で販売する第一パンさんの企業倫理はどうなっているのか、いや、7割がキャラクター使用料と言われればそれまでだが。
もーう、コナンくんったら!食べ物の恨みで殺されちゃっても知らないからね!
・・・それもオリエント急行殺人事件のように、ありとあらゆる所から集結した、このパンに裏切られた人たちが一刺しずつしていくタイプだぞ。君にこの事件が解決できるかな?
第一パン オレンジジャムとクリームのパン 118円
パン:柔らかくて黄味がかったパン
クリーム:クリームというか、マーガリンとママレード
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