ペンギン村に陽は落ちて
「ねえ、それまた少し飲んでもいいかしら?」とユキは僕のピナ・コラーダを指さして言った。「いいよ」と僕は言って、グラスを取り替えた。ユキはそのストローでニセンチほどピナ・コラーダを飲んだ。「美味しい」と彼女は言った。「昨日のバーとは少し味が違うような気がする」
僕はウェイターを呼んでもう一杯ピナ・コラーダを頼んだ。そしてそれをまるごとユキに与えた。「全部飲んでいい」と僕は言った。「毎晩僕につきあっていたら、一週間で君は日本でいちばんピナ・コラーダに詳しい中学生になれるよ」
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」
十三歳の女の子にお酒を飲ませてしまうのはどうかとも思うが、このシーンが好きだ。
難しい年頃の難しい女の子と主人公の、対等な関係や、少しずつ手に入れてきた親密な感じが素敵に羨ましい。
だからこの小説を読むと、必ず、ものすごくピナ・コラーダが飲みたくなるのだ。
それで「ダンス・ダンス・ダンス」を読んだ次の日、友達とご飯を食べに行くのを、無理矢理にハワイアンダイニングにしてもらって、ピナ・コラーダを飲んできた。
パイナップルとオレンジとデンファレが刺さっている所までは想定の範囲内だったのだけれど、まさか花火と傘まで刺さってくるとはね・・・。まるでお子様ランチみたいだ。これなら十三歳の女の子が飲んだとしてもパッと見、まったく問題ない。
こちらは見た目も中身もお子様ランチなペンギンクリームパン。サイズも小ぶりで子供にちょうどいい感じの。
でも難しい年頃の難しい女の子だったらきっと、ちらりと冷ややかな一瞥をくれるだけで、見向きもしないタイプの。
パンチャリオ ペンギンクリームパン 100円
パン:ペンギン部分はクッキー生地
クリーム:固め、若干の香料。
☆☆☆
私もあの小説みたいに「毎日私につきあっていたら、一週間で君は日本でいちばんクリームパンに詳しい中学生になれるよ」と言ってみたいが、ピナ・コラーダがクリームパンに変わっただけで、なんだか進研ゼミの胡散臭い勧誘漫画のセリフみたいに思えてしまうのは何故。
おちょぼ口のペンギンのせいかしら。
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