90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

汝自身を知れ

「汝自身を知れ」
これはアポロン神殿の入口に刻まれた古代ギリシアの格言だそうだ。私もどこかに刻んでおきたい・・・。

何故、人は、自分自身の事でさえうっかりすっかり忘れてしまうのでしょうね。例えば、海外旅行先で浮かれはしゃいでシュノーケリングしようとボートから海に飛び込んだ瞬間に「はっ!!!!泳げない!!!!」と気がついたりね。下手をしたら死ぬわけじゃないですか、そんなの。

一人暮らしを始めたばかりの二十歳のあの日だって、「あ、今日は生食用牡蠣が安いわ!たまにはこれくらいの贅沢をしてもいいわよね」と買い求め、食べた瞬間に雷に打たれたかのように気がついたのだ。
「貝、嫌いだった!!!あさりですらギリギリなのに牡蠣!それも生!!!!」
涙目で食べたものの、夜眠る時もずっと喉元まで海の匂いがあがってきて、うなされそうになった。

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もつ。
実家では全く食卓にあがることのなかった食材で、大人になってから飲み屋で初めて食べた。最初は苦手かな、と思ったが、その後行ったもつ鍋屋で「あ、なんだ、おいしいじゃない」と安心した。
それでも進んで食べるものではなかったが、なんとなく気が向いて、もつ煮込みセットなるものを購入したのだ。スープと、真空パックにされたモツがついていて、ちょっと煮込めば食べられるというもの。
玉ねぎとこんにゃくも加えて行平鍋いっぱいにできあがったもつ煮込み。

見た目からして、アレ?とは思った。なんか、ちょっと違う?なんかこうすごく・・・見た目が・・・もつ鍋で食べたもつよりもグロテスクというか・・・内蔵?
そうして、ぐにゅぐにゅぐにゅ、と噛んで、もう泣きそうになった。
これ、あれじゃん、こてっちゃん的なやつじゃん、私の苦手なやつじゃない・・・。
もつって何?いろんな種類があるの?もつ鍋のもつともつ煮込みのもつは違うの?その筋の事情知らないからさ・・・。

鍋いっぱいのもつ煮込みを前に、がっくりうなだれる5月の夜。
どうしていつも何が好きで何が嫌いか忘れちゃうんだろう。
このもつ、どうしてくれよう・・・。