増殖の恐れ

聖書では「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」と言うけれど、増えることは果たしてそんなに良いことなのでしょうか･･･。
ディズニーの「ファンタジア」の中で増え続けるほうきなんて、恐ろしくて恐ろしくてトラウマになっているというのに。

久々に見ても、ぞっとするわ、この絵。これが地に満ちるとか(((( ;ﾟдﾟ))))ｱﾜﾜﾜﾜ

実家は塩蔵わかめ派だったので、増えるわかめちゃんを使った事がなかった。
そういう家庭に生まれ育ちし者は大抵、一人暮らしを始めて、増えるわかめの手酷い洗礼に遭うものなのだ。
味噌汁を作ろうと、増えるわかめちゃんをひとつかみ放り込んだ結果、鍋を凌駕するわかめ。わかめ地獄!!わかめが吹きこぼれてガスが消える始末。
増えるって!!増えるってどんだけ!!
それで、友人に「増えるわかめってマジヤバいね。増えすぎ」と電話した所、「増えるわかめって人が殺せるんだぜ！戻す前のわかめを一袋食わせて、水をがぶがぶ飲ませるとわかめが膨張して胃が破裂して死ぬんだ」という話を聞かされ、震え上がった。なんて嫌な死に方！口からわかめ吐いて死ぬなんて、わかめで胃が破裂するなんてもう最低！

これは富士そばのわかめ蕎麦。富士そばのお蕎麦は茹で置きなのか、わかめに限らず蕎麦までどんどん汁を吸って膨張して、一生食べ終わることのできないような気にさせるものだ。あれも相当気が滅入る。
それから、お麩。あれも初心者には加減が難しく、増えるわかめとおなじような惨劇を引き起こす。

想像を超えるスピードで想像を超える増え方されると、増えるという事への恐怖感の方が強くなり、「増えた！」と喜べなくなる。
いまだに増えるわかめに気持ちがついて行かず、今日だってガス台の前で「これは増える。相当増える！名前に偽りなしの増えるわかめ！要注意！」と自分に言い聞かせながら、その増殖力に怯えているのだ。
豆を戻す時だって、どれだけ増えるのかびくびくしてしまう。21世紀になった今尚夜店で売られている水につけて置くと大きくなるおもちゃだって、なんだか薄気味悪くて苦手。テレビショッピングの「今ならさらにもう一つついてお値段は据え置き！」と言うのだって、ダイヤモンドシャープナーが二つもあったらどうしていいのかと途方に暮れる。
まあ、もちろん貯金はどんどん増えてほしいんだけど。

･･･ということを、夕方、増えるわかめ片手に味噌汁の鍋の前で考えた。この世の悩みを一身に引き受けたキリストのような憂いに満ちた表情で。