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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

天地動転

泡沫

年齢のせいか、ここ最近、時々派手に転ぶ事がある。
子供の頃はしょっちゅう転んでいたのに、大人になると転ぶことが少なくなるので、何が起きたのやら事の次第が理解できずに呆然としてしまう。

あれはもう、6,7年前か。自宅の前で見事に階段落ちをやらかした。肉体的にも精神的にも衝撃が強すぎて呆然としていたが、丁度雨戸を開けている最中の向いの家のおじいさんがステテコ一枚で「大丈夫かー!!今行くから待ってろ!!」とご近所中に轟く叫び声をあげたので我に返った。恥ずかしさのあまり「だ!大丈夫、大丈夫です!大丈夫ですから!!」と足を引き摺って逃げたが、その背中に投げかけられた「本当に大丈夫かなあ」という、大きな呟きは今でも耳に残っている。あれは恥ずかしかった。

今年の冬は、雪のあと、クリーニング屋の店先で足をすべらせ、バナナの皮で足を滑らせるマンガのように綺麗に転んで左肩を強打した。1週間ほど、あちこちが痛くて「ああ、お年寄りが一度転んでしまうと怖くて外に出れなくなる、とかっていう気持ちがよくわかる。よくわかる年齢になってしまったのか」とひどく意気消沈した。
その話を祖母にしたところ、祖母は元気に言った。
「大丈夫よ!おばあちゃんなんてね、エスカレーターができたばかりの頃、エスカレーターで転んで大股開きで立ち上がれないまま下まで流れてったわよ!」
・・・そう・・・。それに比べれば、マシはマシだけど、ばあちゃん・・・。そう・・・。
周りの方もさぞや仰天したでしょうね・・・。


今朝、会社の入り口で派手に転んだ。
まるで、WBC台湾戦でダイビングキャッチを見せた牧田みたいな転び方だった。

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こういう時、本当に映画や漫画のように物事がスローモーションで見えるもので、お弁当袋がドラマティックな印象を残して飛んで行った。
あの時の牧田くんにも飛んでくるボールがゆっくりと見えていただろうか。とにもかくにも彼はあの時日本を救ったけれど、私は弁当一つ救えないまま地に伏し、すごい勢いで飛んできた警備さん達に「大丈夫か!!」と戦場のような大声をあげさせてしまった。
「・・・恥ずかしい・・・でも、ばあちゃんよりはマシ。大股開きでエスカレーターおりたあの人よりは・・・」
そう自分に言い聞かせながら「大丈夫です、すみません」とその場を離れようとする私の後ろで警備さんたちが言っていた。
「隊長!今ここで女性が転んだんですけど、なんか床にワックスみたいなものが・・・」

誰だよ、そんな罠しかけた奴!!!