90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

オーバードーズ

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あれは脳内メーカーが流行った頃だったかしら。インターネットで、色んなおもしろ占いが出まわっていたことがあった。
その中の一つに「あなたがつぶやく最期の言葉」というものがあって、私の結果はオーバードーズだった。もう、この占いサイトはなくなってしまったようだが、結果の脇に描かれた、ぐったりした人の挿絵は今でも印象に残っている。

あなたがつぶやく最期の言葉は「もう,何がなんだか分からない」です.

オーバードーズ、朦朧とした意識の中(推定年令:不明)】

あなたは実に崇高な魂の持ち主です。たとえ満員電車で寿司詰状態であったとしても、閉じられたあなたの眼の裏では、壮大な大宇宙が広がっているのではないでしょうか。あなた独自の生命論、世界観はなかなか聞き応えのあるもので、密かなファンも少なくないことでしょう。ただし、お酒の席での披露は禁物ですよ。

そんなあなたの最期は、ずばり、オーバードーズ。眠りの前に瞑想をする習慣が災いして不眠症ぎみなあなたは、つい飲みすぎた睡眠薬によって永遠の眠りにつきます。枕もとに重ねられたツルゲーネフニーチェの背表紙が徐々にぼやける中、『もう、何がなんだか分からない』と解かれなかった己の人生の真理をつぶやきます。


何故、そんな大昔の下らない占い結果なんて思い出したかと言えば、それは正にオーバードーズのせい。
風邪をひいた私は、前にも書いたとおり偽パブロン的な薬を飲んでいたのですが、水曜日の朝、きっと起き抜けのぼんやりした頭で薬を飲んだのだと思う。しかし出掛けになって薬を飲んだかどうだか忘れてしまい、もう一度飲んだ。
おそらく薬が効き出したのは昼近くになってからだったのだろう。頭の後ろがぼんやりと痺れ、ぐらぐらし、意識が奈落の底にひきずり下ろされていきそうで、正に「もう何がなんだかわからない」状態。ちょっと歩いたら脳みそが零れ落ちるのではないかと思った。

・・・ああ。これ、これがオーバードーズというものか。やっぱりあの時薬、飲んでたんだな、2回飲んじゃったのか・・・。ついにそれをやる程の年になってしまったか、私にもあの、じいちゃんたちが持っている「月曜日、火曜日」と色分けされた薬箱が必要な日が来たか・・・、嗚呼。
無事、生きてるからいいものの、死ぬ前に考える事がこんなうっかりした内容だったらちょっと哀しい。

寄る年波の大波に溺れかけた私が、ほうほうの体で友人たちにその話をしたら
「ああ、ついにやっちゃったか!」「もう、しょうがないわね!今度薬にマジックであたしが曜日を書いてやるから!」「飲んだかわからなくなったら飲まない!1回くらい薬忘れたって死にやしないわよ!」と大変なお叱りを受けた。こうして書いてみると、まるで老人会の集まりの話題のようで、またしてもちょっと哀しい気持ちになるが・・・(´;ω;`)

それにしても薬って本当に効くのな。そろそろ本気でこれを買うべきか。

薬ケース 1週間分

薬ケース 1週間分