いそいでる人
これは飯能焼のお急須。実家ではこれをお急須とは呼ばず「いそいでる人」と呼んでいる。「いそいでる人、どこ行った?」「さっき洗って棚にしまった」といった具合に。
名前の由来は先日の記事にも書いたアーノルド・ローベルの童話「おてがみ」の郵便屋さん、かたつむりくんだ。
初めてこの子が家に来たのは、確か戴き物だったはずで、箱から出すなり家族で「これは!」「すっごく前のめり!」「超いそいでる」とひとしきり騒いだ後に「あの物語のかたつむりくんみたい!」「すぐやるぜ!ってお手紙を届ける所だね!」と意見が一致した。
その割には「かたつむりくん」でも「郵便屋さん」でもなく、なぜか当然のように「いそいでる人」という呼び名になったのだけど。そして、先日本屋さんで絵本を確認したら、絵本の挿絵のかたつむりくんはそんなに前のめりじゃなく、優雅なものだったけど。
母はこのお急須をずいぶん気に入っていて、時折「今日もお急ぎですね、配達ですか」なんて話しかけている。わざわざ窯まで行って、いくつも買い求めて、家のリフォームの際の隣近所へのご挨拶にもこれを配った。その余りの一つが私に分け与えられ、我が家にも、いそいでる人がいる。
いつ見てもいそいでいる。そしてやっぱりどうしてもお手紙配達中のかたつむりくんのイメージ。お急須なのに。
- 作者: アーノルド・ローベル,三木卓
- 出版社/メーカー: 文化出版局
- 発売日: 1972/11/10
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さて、昨日の記事でお誕生日のことを書いたら、たくさんのお祝いコメントを頂いて本当にありがとうございました。もじもじしちゃうくらいに褒めていただいて、恐縮しながらもとても嬉しかったです。
「まるでたくさんのかたつむりくんがいそいでお手紙を届けに来てくれたみたいだわ」と、いそいでるお急須で煎れたお茶を飲みながらしみじみとした昨夜でございました。
ありがとうございました。取り急ぎ御礼まで。