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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

戦争と祭り

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本日は参院選投票日でございますね。
こんな事を言ってはいけないことは知っているが、正直な気持ちを言えば、政治にまるで感心がない。
そんな私ですが以前に選挙のウグイス嬢のアルバイトをしていたことがあるのです。と言っても特定の政党への思い入れがあるわけではなく、近所の人が立候補して、たまたま声がかかったからという感じでイデオロギーに関係なく革新系の政党でも保守系の政党でもやった。まあ、要は金で動く傭兵と言ったところだった。

最終的には国政選挙で右翼みたいな大型街宣カーに乗り込み、周りをSPに包囲されながらターミナル駅での党首街頭演説まで担当したというのが私のちょっとした自慢であるけれど、選挙というのは本当に色々大変な仕事であった。何が一番大変かって、リアルあいのり状態で周りの男女が恋愛バトルを始めることだ。なにせ、あの狭い選挙カーに朝から晩まで乗っているのだ。オスとメスを狭い箱に入れたらつがいになろうという争いが勃発するのだ。
・・・残念ながら、私は常に傍観者として双方のお話を伺うばかりであったけれど。あれ以来、あいのりを見てもまるでトキめかない。

そんな選挙戦、初めてマイクを持った革新政党では「選挙は祭りだ」と教えられた。そして、お金もなければ地盤も強くないので、選挙戦の対策は非常にしっかりしていて、何時にどこで休憩、どこで演説、応援演説要員は誰、というのが全てキッチリと決まっていた。だからハードスケジュールではあったが、我々はただアナウンスをして手を振ってビラを配れば良かった。

しかし、保守政党でそれなりに地盤が強くてお金もあるところは、対策しなくても当選するからなのか、ほぼノープランで、毎日船頭多くして船山に昇っている感じだった。決まってるのは演説会くらいのものだ。
とりあえず事務所に行き、何をしていいかわからないままおろおろと壁に貼られた檄などを読む。「檄」というのは、政党の偉い方からFAXで各事務所に届く励まし文なのだが、その文面がすごい。なんというか「八紘一宇」みたいな、戦時中の新聞のような文章なのだ。それで「ほうほう、やはり、タカ派の選挙戦は戦争か」なんて思っていたら「まめさんは午後からせんしゃに乗って下さい」と言われる。
せんしゃ!せんしゃって戦車ですか、やっぱり戦争か!アムロいきまーす!って行けばいいですか!
と、混乱しかけたが「宣伝車」の略で「せんしゃ」との事だった。はあ、左様で。

乗るのはいいが、何せ船頭多くして状態なので、車が動き出すまでも動き出してからも、おじさんたちは常に言い争いをしている。
溜息をつきながら、ふと横を見るとそこには新聞紙に包まれた山盛りの椎茸があった。支持者の方からの差し入れとのことだった。

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せんしゃの中、冷静と情熱と山盛りの椎茸の間で、今自分は何をすべきかとしばし混乱したあの日。戦場に混乱はつきものね。

やはり戦争より祭りの方が楽しいものだから、選挙が祭りだという革新政党の方が選挙戦も面白かったが給料は保守政党の方が断然上であった。ただどちらにしろ、心も体も骨の髄まで心底疲れたな、あのバイト。
選挙が始まるたびに何故か重苦しい気持ちになってしまうくらい。選挙が苦手になるくらい。あーあ、選挙か、投票日か・・・。