90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

許されざる者

社員食堂は少ない予算でやりくりをしているのか、時折どこの母親だ、と思うような独創的な汁物を出してくる。例えばミニ高野どうふのお吸い物だとか、ミックスベジタブルのコンソメスープだとか。
そんな汁物がついてくるたびに、先輩は憂鬱そうに箸でお椀をかきまぜて「ミックスベジタブルって具としてアリだと思う?許せないんだよね」と言っていた。確かに微妙な具ではあるが許せないという程の事ではない。でもこれが許せない人もいるんだな。

また、グリーンカレーなどの時にはいつしかメニューボードに「とっても辛いです!」と書かれるようになった。なんでも、グリーンカレーが辛いことを知らずに頼んだ人が「こんなものが食えるか!許せない!」と激怒したことに起因するらしい。カレーが辛いのがそんなに許せないか、と驚いて、別の会社に勤める友人に話した所、「あ!うちもそういう人いたわ!すんげー怒ってて、あれ以来カレーに注意書きついてる!」と言われた。・・・そう・・・。

何事に於いても、ここまでは許せる許せないの基準は人それぞれだが、食べ物についてはそれが一層顕著に現れる気がする。
やれ、目玉焼きに醤油をかけるのは許せないだの、納豆に青のりを入れるのは許せないだの、ポテトサラダがおかずとして出てくるのが許せないだのと。

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かく言う私も、中華丼にうずらの卵がなかったら許せない。中華丼の楽しみの7割はうずらの卵でできている。2個入ってたら2倍嬉しい。自宅で作る時にはうずら特盛。そう言ったら、友人が「えー、別にうずらはなくてもいいけど、木くらげは譲れないね」と言うので驚いた。木くらげって!そんなの超どうでもいいじゃん!うずらでしょ、うずら!

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これはこの間、社食で食べた「のり弁丼」
斬新な発想だな、とも驚いたが、食べてみて海苔が刻み海苔であることに驚愕した。そうか!刻み海苔でいいのか!確かに一枚海苔だと、切れにくくて食べにくいもんな。考えてみれば海苔の風味を味わうものなんだから、刻み海苔でいいんだよな、なんと素晴らしい発想!次回からうちもこれにしよう!
そうやって感動しながら、少し心配にもなった。世の中にはいろんな人がいるからな。きっとこののり弁に「刻み海苔なんてのり弁じゃない!許せない」と怒る人もいるんだろうな。

おお、そんな心の狭い人にはなりたくないものね・・・とか言いつつ、中華丼にうずらの卵がないと許せなくて、カラメルソースの入っていないタイプのプリンも、さつまいもご飯にごま塩がないのも、豚汁に七味唐辛子がないのも許せない、相当心の狭いわたくし。