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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

語るべき事

泡沫

「大体人間を4つの性格に分類できる訳がないだろう!馬鹿馬鹿しい」と怒る人がいる。確かに、と思う。
「大まかな性格の傾向は掴むことができる」と言う人もいる。なるほど、と思う。
「そもそも占いなんて非科学的なものを気にする事自体がおかしいのだ」と言う人もいる。そうですねえ、と答えておく。

とは言え、初対面の場合などに血液型を聞かれる事は結構ある。それは何も占い好きな女の子に限ることではなくて、男性から聞かれることも多い。
そんな時、若干申し訳ないような気持ちで「A型です」と答える。何せ一番どこにでもいる血液型だから話が盛り上がらないのだ。「ああ、そっかー、ふーん」で大概話は終わる。

これがB型やAB型など希少価値の血液型なら盛り上がるんだろう。職場でも飲み屋でも、男女問わず「やっぱりー?同じ匂いを感じてたんだー」「絶対そうだと思ってた!」などと楽しそうに盛り上がる様子を何度も見てきた。

曰く「B型には、いいB型と悪いB型がいるが、世間の人は悪いB型ばかり見て誤解している」「性格が悪いなどと迫害されることが多いのでB型の人間同士は結束力が高い」「献血だって、B型は結束力が高いので、いつも血液は足りている。逆にA型は人数が多いことに油断して血液が足りていない」
「AB型は二面性があるとか言われるけれど物事を多角的に捉える事ができるのだ」「だから大きな事をなし得る人間にはAB型が多い」「ミステリアスってよく言われるけど、相反する二つの部分が自分の中にあって、そこをわかってもらえる事があまりないから孤独なんだよね、ABは」

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そうして希少価値の方々の話を「ほう、ほう」と聞いているうちに、それらの血液型の傾向にばかり詳しくなって、自らの血液型の傾向については、俗に言われる「几帳面」という事くらいしか知らずにいた。

そんなある日、前の職場の先輩が、翌日使用する書類や伝票を角まできちんとそろえてセットし、おまけに一枚一枚に丁寧に名前を書いているのを見て「几帳面ですねえ」と声をかけたら、ものすごい勢いで返事が返ってきた。
「あたしA型だから几帳面なの!ちゃんとしてないのって許せないの、A型だから!」
あ、ああ、そうなんですか、…いやあ、私もA型なんですが、とてもここまで丁寧にはできないですよ、と言った瞬間、先輩は凍りつき、目を大きく見開いて言った。
「…嘘でしょ?まめちゃんがA型なんて、あり得ない。もう一度血液検査した方がいいんじゃない?」

ななな、なんですと!いやいやいや、私だってそれなりに几帳面な所ありますよ!そんなカカロットを落ちこぼれと罵るベジータみたいに言わずとも!どんだけ誇り高きA型戦士なのですか、先輩!

あれ以来、血液型の話題のたびに心の中でトホホ…とため息をつく。
だって私は血液型に関して語るべき事も誇りも持ち合わせていないんですもの…。