90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

あれの使いみち

先日、スーパーで買い物をしていたら、入り口のカセットテープが延々と「本日はバナナの日、バナナの日!バナナ、大変お安くなっております。バナナの日!」と繰り返すので、ついついバナナを買ってしまった。こういうの、洗脳っていうのかしら、と思いながら。
久々に食べるバナナ、とても美味しいし朝食として手軽なので、もう一度買ったら、なんということでしょう!昨日、生協からもまたバナナが届いてしまったではないですか!これじゃあ我が家はまるで熱帯果樹園よ?

私はその辺に放置派だが、バナナの保存は吊るすのが一番だという話をよく聞く。
かつて、高校時代の後輩ふみの家にみんなで遊びに行ったら、一人暮らしのくせに彼はバナナスタンドを3つも持っていた。そして「あー、見かけるとなんかつい買っちゃうんスよ、バナナスタンド」と、よくわからないことを言っていた。

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ちょっと待って。つい買うってどういうこと!大体、君の家は冷蔵庫もないじゃない。そのくせバナナの保存法にだけどうしてそんなにこだわるわけ?
私も真顔で尋ねたが、ふみも真顔で答えた。
「じゃあ、まめ先輩はバナナ買ったらどうするんですか!カーテンレールに吊るすんですか!!」
・・・吊るさねえよ・・・。てか、バナナそんなに買わないし・・・。
するとふみは更におかしな事を言う。
「僕もそんなにバナナは買いません」
は?じゃあ、何に使うんですか、このバナナスタンドは!

何故だかだんだん腹が立ってきて、冷たく聞いたら、ふみは真剣に考えこんだ。
「うーん、そうですよねえ。ネクタイかけにも使えないですし、コードリールにするにはかさばりますからねえ。あとは・・・泥棒と戦う?あ!そうだ!こういうのはどうですか?バナナスタンドに彼女へのプレゼントのネックレスや指輪をかけておいて知らんふりしてるんです。で、何も知らずにバナナを食べようとした彼女が気が付いて「え、うそ!!(感動)」っていうのは。」

「何も知らずにバナナを食べようとする彼女」ってどういうシチュエーションだよ。しかもアンタ、彼女いないじゃん。

・・・というやりとりをしたふみともずいぶん会っていないが、いまだに高校の友人たちとはつるんで遊んでいるらしい。
あの子の家にはバナナスタンドが更に増え続けているのかしら。何かいい使いみちは見つかったかしら、と思いつつじっとバナナを見る。