きのこの食べ方
きのこにまつわるエトセトラ - 90億の神の御名
きのこ狩り - 90億の神の御名
今までも書いてきたが、ここ数年、きのこの事が気にかかっている。「好きか」と聞かれれば、別に好きではない。きのこの名前や種類や食べられるか食べられないかや色や形などには特に興味がないのだ。
きのこという存在の不可思議さ、そして、きのこをめぐる人々の情熱や、きのこへの愛情と執着心に溢れた言葉たち、生活の中のきのこのあり方について、興味をそそられるだけだ。
その興味のおもむくままに分け入ったきのこワールド。きのこについて書かれた本のほとんどに「毒きのこ」についての記載がある。正直、毒きのこにはあまり興味がなかった。どこか遠くのオカルト的存在のように考え、「毒きのこ」って言葉にドキドキするのは中学2年生まで!とさえ思った。
が、「きのこる」という本で下の文章に出会って、俄然興味が湧いてきた。
【ツキヨタケ】2008年9月、男性会社員(69)は山にきのこ狩りに行き、ツキヨタケを採取。翌日午前9時、玉子と炒めてパンに挟んで妻(57)と一緒に食べたところ、まもなく激しい嘔吐や腹痛に見舞われた。 山と渓谷社「きのこる」堀博美
— kinoko.bot (@bot_kinoko) October 6, 2013
採集したきのこを「玉子と炒めてパンに挟んで」食べるのか・・・。なかなか洒落た朝食だな。カフェにありそうなメニューだ。
そもそも私はきのこ狩りをしたことがないし、したいとも思わない。山で自分が採ったきのこを食べようなどとは夢々思わない。だから、きのこ中毒は遠い世界の話のように思っていた。しかし「玉子と炒めてパンに挟む」という食べ方を見た時に、きのこ中毒とは、普通の人の普通の生活の中でついうっかりと起こりえる身近で生々しいものであるのだと突然気が付いた。何を今更言っているのかと思われるだろうけれど。
それで興味が出て、インターネットで、きのこ中毒のニュースを調べ、どんな献立にしたのかエクセル表を作成してみた。クリックすると大きくなる・・・はず。
ええ、ヒマなの・・・。
驚きのツキヨタケ率。そして味噌汁率。「茄子と一緒に炒める」というのもいい。
こうして、夕食に何を作って食べたなんていう他人の生々しい生活を垣間見ると、NHKアナウンサーが冷たい声で伝えるようなニュースもやっと自分のレベルまで降りてきてくれる。やっと親身になって思いを馳せることができる。
昨日はついに、例の「玉子と炒めたきのこをパンに挟んだ」サンドイッチを作ってお弁当に持って行った。市販のブナピーとしめじなので中毒の心配はもちろんない。「なるほど、こういうものを食べて、その後で中毒になったのか」としみじみ思いながら、もぐもぐとサンドイッチを噛み締めた。