On the way
12月の終わりに用事があって大手町に行った時に、「そう言えば読売新聞東京本社の工事はどうなったんだろうか」と気になって見に行ったら、まだ工事中だったけれど、「絆」という名前の駅伝の像が立っていたから、「うん、ここが箱根駅伝のスタート&ゴール地点で間違いないな」と安心した。
除幕式も終わっているのに、像の後ろはまだゴミ置き場になっていて、雹の降るような寒空の下、工事作業の人たちがひっきりなしにゴミを運んできていた。
昨日の第90回東京箱根間往復大学駅伝競走往路スタート時、二重三重の人垣で見えなかったけれど、あれだけの人が安心してスタートを見守れる程には工事現場も片付いていたんだろう。
六郷橋を渡りきった下り、東洋大がペースを上げる中、ランナーの邪魔にならないように、何度も何度も振り返ってスピードに気をつけながら、滑らかに神奈川県警の白バイが入ってきた。
鶴見中継所にある「明日へ走る」の像。以前の横浜市長の発案で建てられた。
去年、箱根駅伝の往路を1区から5区まで歩いてきたけれど、歩いてみてしみじみ実感したのは、「道がいい」ということだ。箱根の山道はさすがにアスファルトにヒビが入っていたりする。でも、それ以外の区間はどこもアスファルトが滑らかに美しく、まるで新しい道のように敷かれている。
もちろんそれは、第1京浜、東海道だという主要幹線道路であることが一番の理由だろう。
12月中旬に、こんな風に工事中だった平塚中継所は昨日、綺麗に片付けられて中継所の役割を果たしていた。
年内になんとか片付けようと、工事現場の人が頑張ったんだろう。
それは単純に「年内に仕事を終わらせる」という納期の問題だろうけれど、「箱根駅伝がある」という理由も少しは入っているんじゃないか。道路がこんなに綺麗に整備されていることにも。
全国放送されるから、という見栄もあるかもしれない。
でもほんの少しだけは、選手が走りやすいように、足をひっかけて転んだりしないように、という優しさも、その仕事の中に入っているんじゃないか、と思った。
箱根登山鉄道の小涌谷駅手前の踏切では駅員の方が電車を止めて、選手の通行を優先している。
車両通行止めを受け入れて迂回するドライバーだって、箱根駅伝に興味があろうとなかろうと、このレースの開催に協力をしている。
よく「たくさんの人に支えられて」とアスリートが言うけれど、そのつもりがあるないに関わらず、本当にたくさんの人が少しずつ持ち寄る優しさが、この二日間の学生のレースを支えているんだなあ、ということにしみじみと感動した。
たくさんの人の優しさの上を走って、元気に大手町に帰っておいで。
見ているからね。