90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

想像の余地

「蟹座の女の子って~どこか少し大胆~♪」と広末涼子は歌っていた。
そして蟹座の占い師石井ゆかりはこう語る。
「誰よりも臆病なくせに、誰よりも、危険な場所につっこんでいく」
石井ゆかりによると、蟹座の嫌いなものは「単なる数字や、単なる物質。人の気持ちが感じられないものは、蟹座の目から見るとスカスカに見えます」とのこと。

確かにそうかも。
以前にも米の種類きのこ中毒の表を作成したくらいなので、データや表は好きだ。でもそれが何故好きかというと、そこに自分にとっての想像の余地があるからだ。国庫の貸借表や総理大臣の支持率推移にはまるで興味がない。
本当はそちらの方が意味があるデータなのだろうけれど、私にとっては、数年にわたってデータ収集を続けてる宅配寿司のランク別名称データの方がよっぽど面白くて有益なのだ。特上が「天下統一」で並が「茶々」という太閤系統や「牡丹」から「梅」に至る花札系統、軍艦系統、歴史系統、統一性不明、など様々な名称系統の寿司桶たち。

そんな私にとって、非常に有益なデータの掲載された書物「プロ野球選手名鑑」が今年も発売され、この週末は舐めるように名鑑を読んでいた。

球場に持って行くならハンディ版がいいのだけれど、所有している車や趣味が記載されているし値段も手頃なので、週刊ベースボールの名鑑が好きだ。
見ていくと驚くのは、野球選手の車にプリウスが増えてきていること。エコの流れが野球界にまで!
野球選手の車と言えば、ちょっと前まで、ベンツ、BMWアウディフェラーリ、ポルシェ、マセラティ、キャデラック・・・とハリウッドスターみたいな車ばかりが並んでいるイメージだったのに、最近は驚きのレクサス率。そしてセルシオ、シーマ、クラウン、プリウススカイライン・・・と、言ったら悪いけど、歯科医師学会の駐車場、または田舎の暴走族の集会みたいなことになっている。いや、そりゃ、レクサスはすごい高級車だし、シーマもクラウンもいいけど、こういう車のイメージって50代以上のおじさまか、20代ならヤンキーなのでは・・・。

そんなデータの中に目を見張る一言が書いてあった。千葉ロッテマリーンズ古谷拓哉投手の車名欄。
トヨタ
・・・あのさ、聞かれてること、そういうことじゃないからさ・・・。この人、天然?
そんな想像をするのもまた楽しい。

そして一番面白いのはやはり記者の一言欄。数年前の名鑑では千葉ロッテ担当の記者のコメントが愛憎半ばしていて面白かった。今年の名鑑では阪神のコメントが面白い。やっぱり虎番は愛情深く、クセが強いな。
能見へのコメントはこうだ。
「今年は15勝以上で「さすが能見、やっぱり能見」と言いたい」・・・そうね・・・。
福原「まだまだこの男に頼らざるを得ない」
鶴「谷間での先発登板はもう勘弁」
日高「正捕手の力もまだある」・・・ちょっと、ひどくない?
岩崎「名前は「いわざき」間違えないようにしたい」それ、あなたの個人的メモじゃん!
福留「怪我をしない」気持ちはわかるけど、その目標は本人が持つべきなのでは?

こうして名鑑を見てにやにやしているうちに週末も終わろうとしている。
単なる数字が嫌いでどこか少し大胆な蟹座の私は、想像の余地のあるデータがものすごく好きで、舌なめずりしながら考えている。
「球団別所有車の傾向一覧」とか「プロ野球選手の趣味一覧」「好きな女性のタイプ一覧」でも作ろうかな、ああ、こんなことなら名鑑は毎年完全保存にしておくんだった!
なんてヒマなことを。