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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

これから

昨日からずっと決めていた。今日は鉛筆を買って帰ろうと。
ユニがいいかな、トンボがいいかな、ちょっと柔らかめがいいな。

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「鉛筆の名作、ユニ」
そんなコピーに惹かれて、ユニを買ってきた。
そしてずっとずっと待っている。

これは4年前に高知に旅行に行った時に買った尾戸焼のお茶碗。

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高知の日曜朝市を2周くらいして、悩んで悩んで旅の勢いも借りて、えい!と買った。と言っても3000円しないくらいのお値段だけど。
今まで無印良品ニトリやイケアで適当にそこそこのものを選んで使っていたけれど、「ご飯が食べられればいい、シンプルであればいい、というのではなくて、美しくて気に入ったものを使いたい」と初めて思ったお茶碗なので思い入れがある。

あの時、お茶碗で勇気を使い果たしたので見送ったけれど、同じ日曜朝市に並ぶ品物で、いいな、と思っていたものがあった。
土佐打刃物のくじらナイフ。

包丁,鉈,ナイフ 土佐刃物販売/土佐打刃物屋

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綺麗な文字を書く練習をするのには、やっぱり鉛筆だろう、それならあのくじらナイフ!4年も悩んだならもう買っていいだろう、と注文した。
そして、鉛筆を前にずっとずっと到着を待っていたのだ。

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初めて見た時は先の丸いマッコウクジラ型が可愛いな、と思っていたけれど、今になったらナガスクジラに惹かれた。先が少し尖っている方がペーパーナイフにもなるだろうと思って。
それで、早速鉛筆を削る。捨てようと思っていた紅茶の缶を削り屑入れにして。

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これから先の人生を、私はこのナイフで鉛筆を削りながら過ごすんだ。少し背中を丸めて、無心で、柔らかい鉛筆を削って。
そのうち弟達に子供ができたら、子供の分の鉛筆を削ってあげてもいい。くじらナイフを見せたら子供もきっと喜ぶだろう。でも小学校に入るまでは触らせてあげないんだ。
そしておばあさんになって、その頃にはこのピカピカのくじらナイフもずいぶん年季が入っていい色合いになっているだろう。私は背中を丸めてちびた鉛筆をショリショリ削って、チラシの裏に買い物メモなんて書く。いつか死んだらこのナイフを誰かに譲ってもいい。「あの人、いっつもこれで鉛筆削ってたね」とか言われるのもいい。

これからの人生を一緒に過ごす、死んだ後も残る、そんなことを頭の隅に置きつつ選んだ、くじらナイフ。