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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

あたし時々おもうの

まだほんの子猫の頃から飼っていた猫が、ある日、人から預かった牡猫と恋に落ちて女になった。牡猫がいなくなってからの彼女は、しばらくの間、毎日窓の外を見つめては切なげな鳴き声をあげた。
それまでは、受験勉強をする私の横で鼻をすぴすぴ言わせながら寝こけていたり、ガウンの紐に夢中になってじゃれついているだけだったあの子が、突如一人前の女の顔で、すれ違いざまにしっぽで私を軽くはたき「アンタはまだ男も知らないんでしょ、可哀想にねえ、フン」と見下すような一瞥をくれていくようになった。
恋をするとそんなにもすぐに大人になってしまうのね、と衝撃を受けた17歳の頃。

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2012年の日本音楽コンクール、バイオリン部門で1位になった会田莉凡さんが、三井タワーのアトリウムコンサートに出演されるというので、先日聴きに行ってきた。
学生時代、女王の貫禄でバイオリンを弾いていた彼女が、大人たちの中で少し気をつかいながらも堂々と自分の演奏をしている様子を見て、家族でもないのに「立派になって・・・」と思ってしまった。彼女は着々と一人のバイオリニストとして歩いて、どんどん大人になっていく。

Louder

Louder

ミュージカル「Spring Awakening」のヴェンドラ役やドラマ「glee」のレイチェル役を演じた女優リア・ミシェルの初のアルバムが3月4日に発売されて、amazonで予約していたのが今日届いた。
学生役の彼女ばかり見ていたから、ずいぶん大人の声で歌うことに「ああ、そうか。当たり前だけど、この人は大人の女性だったんだ」と、なんだか驚いてしまった。
gleeの、高校時代の彼氏を亡くした、ミュージカル女優志望のレイチェル・ベリー」ではなくて「既に女優としてのキャリアを積んで、実生活で結婚するはずだった恋人をオーバードーズで亡くした一人の女性」だったんだな、と。

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いつか、かえる姉さんと話した。
「同い年の友達がもう思春期の子供を抱えていたり、税金だ相続だ姑だ介護だって話をしているのを聞くと、自分が責任逃れをしているような気がする時があるんだよね」
「わかる。それと同時に、自分だけがいつまでも幼いままで、周りのみんながすごく大人に見えたり」
「でもあなた、本当は大人になりたいと思ってないんでしょ」
「実はそうなの、出来る限り無邪気でいたい。いつまでも“ぐりとぐら”のホットケーキの話なんかして」

でも、やっぱり時々は思う。
こうして、どんどん大人になっていく彼女たちを見ながら、なんだか駅のホームでいろんな人を見送っているみたいだなって。
自分だけが立ち止まっているんじゃないかって。いいんだろうかってことを。