90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

枕を高く

えんどう豆の上にねむったお姫さま

えんどう豆の上にねむったお姫さま

「布団の下にえんどう豆が敷いてあるもんだから、あちこち痛くてとても眠れやしなかったわ!」とか「枕が変わるとどうも眠れないんだよね」なんていう繊細な方もこの世には多いが、私は枕があろうがなかろうが、高かろうが低かろうが構いやしない野良猫育ち。

3年前の震災の日には、帰宅できずに会社の机に伏して寝た。
学生時代には、別れる別れないで揉めていたアケミとニシカワくんカップルの話し合いに付き添った末、ニシカワくんちの床で寝た。ニシカワくんは電気を消す前にふと思いついたのか、ベッドの下から綺麗に畳まれた約一週間分の日経新聞を取り出し「まめちゃん、これを枕にしなよ」と言った。・・・あ、ありがとう・・・。
明け方、シングルベッドで夢とアケミを抱いてたニシカワくんを横目に、こっそり家に帰った。日経新聞の上に「帰るね」とメモを残して。

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新聞を枕にしたのはあれが最初で最後だ。
でも、恥ずかしい話、私はときどき涎垂らす派なので、新聞紙くらいがちょうどいいのかもしれない。
長らく使っていた無印良品の羽根枕にも、カバーをはずすと汗ジミや涎しみが古文書のように広がっていて、週末の朝の私をやるせない気持ちにさせていたものだ。年末の大掃除の時に思い切って捨てたけど。
そこからしばし枕難民だったのだけれど、ついに日曜日、ニトリで憧れの低反発枕を買ってきた。1290円。お値段以上。

ゆっくり沈みこみやさしく支える 低反発チップまくら(チップ2 HI): 寝具 - 【ニトリ】公式通販 家具・インテリア通販のニトリネット

帰ってきて早速昼寝をした。ちょっと高い気もするけど、寝れないわけじゃないし、そのうちへたるでしょうよ。これが正に「枕を高くして眠る」ってやつだな、と思ったら、急にその言葉が気になった。
なに?枕は高めの方が価値があるの?昔の人は高めの枕がお好み?気になっちゃって、おちおち枕を高くして寝てもいられない。

調べによると、昔の中国で、戦争中に不意の敵の襲来に備えて地面に耳をつけたり、遠くの音が聞こえるようにえびら(矢立)を枕として寝たりしていたので、戦いが終わると敵の襲来もなく安心して枕を高くして寝ることができたことから、こういう言い回しになっているらしい。
なるほど、地面に耳をつけて注意を払いながら寝ていたのか・・・。そういう理由なら新聞紙を枕にすることすらできないわね。

ちなみに、同じように「気にかかることがなく、安心してゆっくりと眠れること」を表す、英語のことわざは「To be able to sleep on both ears.(左右どちらの耳を下にしても眠ることができる)」と言うんだそうだ。
・・・それって、安心とか気がかりとかの問題じゃなく好みの問題なんじゃ・・・。

という気がかりはさておいて、枕を高くして寝ることにします。おやすみなさい。