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日暮

日本の伝統「盆栽」の魅力。 - NAVER まとめ

この記事の中には、「今若い女性の人気再燃!」という見出しがあり、「若い女性の中にはマンションのベランダで自ら盆栽を育てる人も増えています。長い歴史を誇る盆栽は、いま、緑のアートとして、再び脚光を浴びているのです」と書かれている。
確かに、初めて盆栽を買ったお店でもそんなことを言われたし、盆栽について調べる度にあちこちで「若い女性が!」という文字を見た。

先日、盆栽教室の帰り、一緒に受講している主婦のキムラさんがボソっと言った。
「若い女性に人気とか言うけどさ、見かけないよね。どこで人気なの?って思うんだけど」
ホント。国風展で若い外国人たちがウキウキしてるのは見かけたけど日本の若い女子は見かけない。
それで私はしみじみしながら答えた。
「私、最近ホンット、ひきこもりなんですよ。週末なんか、ずーーーーーーっとベランダに座って頬杖ついて盆栽や花を眺めてるんですよ。やっぱり、それがしたくなるほどの年齢じゃないとあまり盆栽に惹かれないんじゃないですかね。ほら、若い人はもっとこう、アクティブに出かけたくなっちゃうんじゃないでしょうか。」

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そう、ここ最近の私ときたら、ベランダに何時間でも座っていられる。そして頬杖をついてただただじーーーーーっと草木を眺めている。完全にお婆さん。
山友達のおじさんからの「山に行こう」という誘いも断って、じっと。会社帰りだって、寄り道せずに一目散に帰って草木たちの今日の成長を確認する。

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芽吹いてきたハウチワカエデの折りたたまれた新芽がどんなふうに開いていくのか、ジャスミンの新芽はどんな風に伸びるのか、雪割草はまだまだ毛むくじゃらの新芽を出してくれるのか。

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これは上の記事の中にも書いてあった、大宮盆栽美術館にある五葉松で「日暮」という名だそうだ。新潟の石油王が名づけたんですって。
石油王!なんて素敵な響きなの!・・・という所にも心惹かれたが、何より「日暮」という銘の理由が「見ていると知らぬ間に日が暮れてしまうことからつけられた」という所に「ああ!!」と思った。

その「ああ!!」は「やっぱり?」で「あなたも?」で「昔の人もそうだったんだな」で「わかるわ!」だ。
見ていると知らぬ間に日が暮れる。そしてぼーっとしているうちに、日々は飛ぶように過ぎ、このはてなの中でさえ、なんだか浦島太郎のような心持ちでいるのです。すみません。