90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

ついていかない

4年前にテレビを処分した。当時は震災直後の節電キャンペーンもすごかったし、テレビをつけたところで暗いニュースが多かった。何より我が家は建物の構造上、スカパーの受信ができず大好きなスポーツもほとんどみることができなかった。

しかし、今年の梅雨明け頃、4年ぶりに我が家にテレビが復帰した。
ある日、ポストにピラっと放り込まれた、マンションについにケーブルテレビが引かれるというチラシ。
はっ、これはもしや高校野球ラグビーワールドカップも見れるってこと!?

そして何よりの決め手は、同僚との他愛のない会話で「もう梅雨あけたって今朝テレビで言ってたよ」という一言だった。
私だってスマホで天気予報をチェックしながら毎日天気に気をつけていたよ、でもそれじゃダメか!テレビがあれば梅雨明けを教えてもらえるのか。
いつもみんなの話すCMだの芸能人だのの話題にまったくついていけてなかったけど、これからはついていけるのか。
そんな夢を心に抱いていました。

だがしかし。
テレビが来て半年たった年末、「auのCMの犬、変わったんだよ、桃太郎の犬」と言う上司の言葉を聞いてハっとした。
…知らん。
そればかりか相変わらずお笑い芸人も芸能人も最近の歌もよくわからない。

そうか、テレビがあるからと言って世の流れについていけるワケではないのか。
「ブレスレットつけただけでモテる」、とか「開運ペンダントで金持ちに!」とか「iPhone持てばイケメン」とか言うのと同じような幻想か。

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思い返せば今年はどうも季節事にもイベントにも世間の流れにも乗り遅れ放題の1年だった。
ああ、もう夏も終わっちゃったの?え?シルバーウィーク?あら今日ってクリスマスなの?
そんな気持ちでいるうちに年末がきたけどどうにも気持ちがのらない。

これさえ作れば、と年末恒例の鍋いっぱいのおでんを仕込んで、ちょろちょろっと掃除はした。鮭のいっぱい詰まった冷凍庫とか。
一箇所終わるたびに「もうこれでいいだろ、今年は!」と思いつつも、いや、洗面所が!…などと強迫観念にかられてしまう小心者。

昨日は掃除をしながら横目で2年前の箱根駅伝の再放送を見た。
抜かれて引き離される選手に「無理についていかなくてもいい!!」と、監督が激を飛ばしていた。
そうよね、それでいいよね。
足がとまりっぱなしの1年だったけど、テレビ買っても相変わらず趣味に夢中で他が見えてないけど、無理についていかなくていいよね。

そんな気持ちの大晦日。
夜はおでんそうめん食べる。そうめんだって細くて長いんだからね!世の蕎麦推しに無理してついていかないんだからね。

皆様、どうぞよいお年を。