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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

私は貝になりたい


貝にな! …この前築地に行ったもんで貝の写真なんかいくらでもあるんだぜ。

さて、先日は相撲ファンの先輩つるちゃんと夏場所初日に行ってきた。
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幕下力士の取組を横目に昼間からビール飲んで焼き鳥食べて、しみじみと語り合う。
「昔は関取なんてみんな自分よりもずっと大人だったのに、気付けばみんな年下になっちゃったよ」
「わかる!プロ野球選手名鑑見ても32歳くらいで既に“まだ老け込む歳ではない”とか書かれてるしさ」
「我々の年齢でまだ現役だったら、レジェンドとか呼ばれちゃうしね」
…そうね、レジェンドね…。
それでも、こんな年になってもやっぱり、土俵上やグラウンド上で素晴らしい戦いをしている人々は皆、自分よりずっと立派な大人に見える。

思えば、子供の頃、読書感想文のために読んだ本の中の登場人物達だってみんな自分より立派で、感想文にはいつも「こんな状況でも諦めない◯◯はすごいなと思いました」みたいな事を書いていた。
いつか自分が大人になったら、そんな風に思わなくなるのかなと思いきや、いまだに本や漫画を読んで「え、この年でこんなに大人なのが普通?私がダメなの?」とヘコむことも多い。

近年、私を一番ヘコませたのは、吉田秋生の「海街ダイアリー」だ。
連載開始当初まだ29歳の長女、幸姉は異母妹を引き取って育てることを決める。喪主挨拶まで引き受ける。…私、喪主挨拶なんて出来ないし、ご葬儀の段取りもよく知らない。
1年後、30歳になった幸姉は、法事の際、義母の再婚に腹をたてる妹を叱る。
「思ったまんま口にすりゃいいってもんじゃないのよ!」

この言葉は、言動で失敗しやすい私の胸にぐっさりと突き刺さったのだけれど、人はなかなか成長しない生き物。

国技館にて、つるちゃんと力士の入り待ち中、向こうから安美錦の付き人らしき人がやってくる。
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うきうき浮かれていた私は大声で言いました。悪気はなかった。
「つるちゃん!あの人、スイカみたいな着物着てるね!
つるちゃんはゲラゲラ笑いながら言いました。
「まめ、思ったことをそのまんま口にしないのよ

…ああ、やってしまった。
まあ、笑ってくれてたからいいだろうと自分を励まして、でもヘコむ。まるで余計なおしゃべりをし過ぎた飲み会の翌朝みたいに。
今まで何度も「もう二度と余計なことを口にしない」と誓って生きてきて、いまだにこのザマよ。幸姉はあんなに大人だというのに。
帰りの電車の中、「思ったことをそのまま言う」とGoogle検索すると様々なアドバイスが出てくる。「そういう生き方は損をします」「友人を失います」「ヤクザの前でも同じことが言えるんですか」「アスペルガー症候群の兆候です」

ああ、ああ、もう、ホント、次に生まれ変わるなら私は深い海の底で物言わぬ貝になりたいわ、貝に!

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サウダージ

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