90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

薔薇の運命

あっという間に7月か。
常日頃はヒマをもてあましている仕事がバタバタと忙しく6月はあっという間にすぎ去った。
7月に入ってもまだ6月の後始末をし、落ち着けば魂が半分ぽわーんと抜けかけた状態のまま
「あ、今日は小中学生の頃、大好きだったフジイくんのお誕生日」「あら今日は高校時代好きだった先輩のお誕生日」「あら、独立記念日はひどい夕立ね」と思いながら日がすぎた。
なんだかんだ7月はイベントが多いのだ。
今日七夕は弟の誕生日だし。尚、乾しいたけの日でもあるらしい。
乾しいたけの日 - 日本産・原木乾しいたけをすすめる会
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こちら乾しいたけ貴婦人。おそらく乾しいたけの運命に生きている。

今日の乾しいたけの日がすぎればすぐに自分の誕生日が来て、そして巴里祭の日が来る。
あのフランス革命の日を巴里祭と呼ぶと知ったのは一体何のせいだったかしら。少なくとも「ベルサイユのばら」ではなかったはずだ。寺山修司の歌だったのではないかとここ数日歌集をあさったけれど見当たらず、啄木でもなく、太宰でもなく。
短歌にのめりこんでいた母と二人で寺山修司にハマった夏に「巴里祭」という言葉を交わした記憶があるのだけれど。

今の会社に勤める前、ずっと働いていた劇団は、もともとフランス演劇の上演がしたくて創立された所だったので、創立記念日が7月14日だった。入ったばかりの頃は「なるほど、巴里祭の日か・・・」と文学的にしみじみ感動したものだが、毎年その日に総会だなんだとバタバタと過ごすうち、少しずつ何か不穏な嫌な日になっていった。

今の会社に入った初日、教育してくれた主任(現係長)がニコニコと
「うちの会社、7月が創立記念日だから6月が営業年度締めで一番忙しいんだ。確か創立記念日は7月14日。珍しいでしょ、そんな会社」
と告げるので頭の中に♪ジャジャジャジャジャジャジャジャチャーラッチャララー♪とベルサイユのばらのテーマが鳴り始め、「嗚呼、薔薇の運命!」と劇的に衝撃を受けた。
無論笑顔で「そうですねー」とか言っておいたけど。


薔薇は美しく散る

あまりの奇遇さに、毎年この季節が来ると「そうか、私は薔薇のさだめに生まれたのか、華やかに激しく生きろと生まれたのか…」と笑ってしまう。
そんな7月、隣のチームの主任がいきなり立ち上がり「お取引先様からもらった扇子いる人!早い者勝ちです!」というので女子たちで扇子を貰い受けた。昨今は猛暑のせいもあるのか、夏のご挨拶に企業が配って回るノベルティもお扇子などが増えてるらしい。3社分ほどあったけれど全部お扇子だった。それも企業名は隅にこっそり入っているだけで、夏らしいデザイン、よくよくみればプラスチックの芯だけれど、パッと見ではすぐに気づかない程よくできていて、白檀の匂いもつけてある。

ピンクの花火柄や黒字に夜の花火柄は競争率が高かったので私のはシンプルな金魚柄。
それで女子達みんなで白檀の香りにうっとりしながら扇子で仰いで会話をしていたらふと気がついた。
「やだ!!なんだかここ今、ベルサイユみたいじゃないの!!」
お扇子片手にこんな優雅におしゃべりしちゃって、我々、なんだかおフランスの貴婦人みたいじゃないの!
やっぱり薔薇の運命に生まれたんだわー、いやだー困るー、とにやにやムフムフしているのです、ベルサイユみたいな職場で。ホホホ。