90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

ごはん

この広い土鍋いっぱい

何も一人暮らしでこんなに鍋一杯のおでんを作らなくても…と毎回少しの不安と、そして喜びを胸におでんを作る。この前、篭ノ登山に行った帰り、妙義山の近くで玉こんにゃくを買ってきた。群馬と言えばこんにゃくだものね。それで帰宅するなり、すぐにおでんを…

よそんちの肉じゃが

実家の肉じゃがは、恥ずかしながら豚肉で、何故か竹輪も入っており、そして肉より玉ねぎの方が多くて甘い。思春期の弟は母に冷たく言ったものだ。「お母さんの肉じゃがは、「肉じゃが」じゃねえよ!「玉じゃが」だろ!」 母は答えた。「ちくじゃがです!!」…

コロッケと嵐

台風が近づくと、インターネット上がコロッケコロッケと騒ぎ出す。理由は下記の通り。意外と古い 『今日は台風だからコロッケな!』 の由来とは - NAVER まとめ子どもの頃、親の知人の家で台風を迎えた。「この後、停電するから」とおばさんは張り切っておに…

好むと好まざると

父方の親戚筋はみんな広島で、お墓も広島にある。広島のお墓の怖い所はほぼ全ての墓石に「○○ 5歳 昭和20年8月6日」などと、原爆で亡くなった方の名前がずらっと並んでいるところだ。一つの墓石に同じ日に亡くなった名前が2つも3つも刻まれているのを、顔を強…

許されざる者

社員食堂は少ない予算でやりくりをしているのか、時折どこの母親だ、と思うような独創的な汁物を出してくる。例えばミニ高野どうふのお吸い物だとか、ミックスベジタブルのコンソメスープだとか。 そんな汁物がついてくるたびに、先輩は憂鬱そうに箸でお椀を…

みんなとおなじ

田舎に帰省してた友人のタキコが帰ってきて、居酒屋で冷奴つつきながら言う。 「帰りにな、母ちゃんがいっつも弁当持たせてくれるんよ。母ちゃんの弁当、茶色くて、昔はあれが嫌で嫌で仕方なくて、やめてくれって散々母ちゃんに言ってたんだけど、今食べると…

驕れる者は久しからず

ことわざか何か知らないが、祖母はしょっちゅう「お米とお茶は一度いい物を食べたらもう元には戻れないからね」と言っていた。だから、あんまり贅沢に慣れてはいけないと。 ちょっとご馳走を作ったり、頂き物のお菓子なんぞを出そうものなら、祖母は嬉しそう…

釜めしを買いに

7月頭に釜めしの記事を書いたら、釜めしが食べたくて仕方なくなった。東京駅で販売しているという事までは調べたが、どうにも体調がすぐれず、買いに行けなかった。 それで、奈良旅行の折、私は新横浜から新幹線に乗るのだけれど友人は東京駅からなので「釜…

美味しうございました

京都の営業さんが阿闍梨餅を手土産に本社に来てくれた。これ、大好き。この前、奈良の帰りにも買おうかと思ったけれど、大人気なのか「本日分は売り切れ」になっていた。 なんてもちもち!美味しさのあまり、食べ終わってから浮かれて「おいしゅうございまし…

そうめん狂騒曲

あれはまだこの世に流水麺がなかった頃。遅番勤務を終えて23時近い電車に揺られながら、頭の中はそうめんでいっぱいだった。 「ああ、そうめん食べたい。今すぐ食べたい。でも、そうめんてファミレスにないもんな・・・。茹でる?今から?薬味も買って?なん…

羊をめぐる冒険

ジンギスカン屋には変わった名前が多い。 という事に初めて気が付いたのは、以前、職場の同僚たちと「ジンギスカンが食べたい!」と血眼で店を探した時だ。 ぐるなびにずらっと並ぶ店舗一覧を見ながら、あれがいい、これがいいときゃあきゃあはしゃぐ女子達…

増殖の恐れ

聖書では「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」と言うけれど、増えることは果たしてそんなに良いことなのでしょうか・・・。 ディズニーの「ファンタジア」の中で増え続けるほうきなんて、恐ろしくて恐ろしくてトラウマになっているというのに。久々に見ても、ぞっと…

汝自身を知れ

「汝自身を知れ」 これはアポロン神殿の入口に刻まれた古代ギリシアの格言だそうだ。私もどこかに刻んでおきたい・・・。何故、人は、自分自身の事でさえうっかりすっかり忘れてしまうのでしょうね。例えば、海外旅行先で浮かれはしゃいでシュノーケリングしよ…

何も足さない。何も引かない。

「変わったものを見かけたら必ず食べてみる」とか「新商品は必ず試してみる」という人は結構いると思う。 友人の中にも、旅行で見かける度に「わさびラムネ」やら「くらげアイス」「イカ墨ソフトクリーム」などを嬉々として購入する者がいる。そして一口食べ…

思い出の中のごはん

毎日モノスヤさんのブログを楽しみにしているのだけれど、不思議なことにあのブログにはいつも、自分がここ数日食べたい、食べたいと思っていたものがタイムリーに登場する。 それから、無意識に食べたいと思っていたものも。 この前は春菊のスープが登場し…

春の悩みと言えば、花粉症と菜の花。 菜の花のおひたしや辛子和えがとても好きなのだけれど、あの旬の野菜は出始めから出終わりまで一貫して一束258円だ。 それを上回ることはあっても下回ることはない。少なくとも私は258円以下の菜の花を見たことがない。…

ライスカレー

高校生の頃、昼休みには部室で、誰かが粗大ゴミから拾ってきたテレビを見ていた。 テレホンショッキングから「金子信雄の楽しい夕食」というのがお決まりのパターンであり、誰もその流れに異議を唱える者はいなかった。 見どころはもちろん、信雄がどんどん…

旅の始まり

学生時代の友達と時々、行く宛のない旅をしていた。 行き先は会ってから決める。曲がりたい曲がり角を曲がる。ずっと下道。 いつからか、行き先を決めるようになって、高速を使うようになった。 「時間を金で買うんだ」と言って。 少し残念だけど、不慣れな…

ガラスの仮面

女に生まれて 喜んでくれたのは菓子屋とドレス屋と女衒と女たらし ・・・と中島みゆきは歌っていた。 特にそれらに喜ばれた覚えはないけれど、女に生まれてちょっと不便なのは あまり大きな声で「立ち食いそばが好き」と言えない所。そりゃ、立ち食いじゃな…

イノセンス

熊本に出張に行っていた父が、立派なケースに入ったあまおうをおみやげに買って来てくれた。 「あかくてまるくておおきくてうまい。だから“あまおう”って言うんだよ」 「俺が採ったいちごなんだよ」と得意げに言う父の無邪気さに ああ、この人はきっと五歳児…