90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

不気味の谷

こっそり引きこもって生きています。なので星すら見に行けていません。 そのかわりにプラネタリウムに行ってみたりする。みんなが「あれ、すごいですから!見て!近いんだから!行けよ!」と口々に言っていたかわさき宙(そら)と緑の科学館の世界最高峰プラ…

まだ生きてるよ

引きこもり問題が一般化してきた1990年代、友人ゴトオは私に厳しく言い放ったものだ。 「お前は精神的引きこもりだからな。肉体的には引きこもってないから仕事もちゃんとするけど、精神的に引きこもってる」 心当たりありすぎて、ぎゃふん。上手いこと言う…

2D・3D

ある朝、何の話のついでだったか、課長が言った。 「僕が若い頃にはね、一生懸命お金をためてステレオのラジカセを買って、電車の音を撮りに行ったんだ」 あら、課長、撮り鉄みたいな感じだったんですねー、と笑ったが課長の言いたいことはそういうことでは…

命みじかし

チャンスの神様は前髪しかないから、やってきた時にすぐに前髪をつかんでおかないと、振り向いて掴もうとしても手が滑って掴めないんだそうだ。 初めてそれを聞いたのは中学生の頃で、友達とお弁当を食べながら「どんな髪型だよ」「相当脂ぎってるね」と笑っ…

ふきのとうの花が咲くころ

ずいぶん暖かくなってきて、ベランダの雪割草はもう満開だし、今朝は雪柳も一つ二つ蕾が開いていた。 これは去年雪割草を頂いてきたクリーニング屋さんの店先。3月になったら、しそとコリアンダーの種を蒔こう、と思っていたのに、時折眺める暦には先月くら…

明日

今日の東京は花粉の飛散量がものすごく多いから気をつけろ、という警報が昨日から出ていた。 そのせいか朝から会社で鼻血を出してしまった。 トイレで鼻血のついたハンカチを洗いながら、そう言えば、あの日も花粉で目と鼻をぐしゅぐしゅさせて、もう耳鼻科…

ゴッサン

世間では「マッサン」というドラマが流行していたようですが、あのタイトルを耳にする度に思い出す女の子がいた。 その名はごっさん。 前の職場にいた素敵な女の子だ。時々女子の集団の中にはファッションリーダー的な女の子が現れる。それは大概の場合、名…

一緒に食べよう

2月の終わり、学生時代の友人ヤマダから突然メールが来た。 「突然ですがシュラスコ食べませんか。旧交を温めたいのもありますが、とにかく肉が食べたいのです」 ・・・「ご臨席賜ればギャツビーの栄誉、これにすぎるところはない。ジェイ・ギャツビー」という…

この悩ましき日々

・・・タイトルは「この楽しき日々」を意識しましたが、「大草原の小さな家」シリーズは全然完読できていません・・・。父さんのワイルドさについていけなくて・・・。この楽しき日々―ローラ物語〈3〉 (岩波少年文庫)作者: ローラ・インガルスワイルダー,ガース・ウィ…

老婆の休日

休日に、スーパー銭湯に入り浸って贅を尽くせば「おっさんか!勘弁してくれよ!」と父親に溜息をつかれるし、友人とハイキングや町歩きに出かければ「完全にばあさんの行動パターンね」と母親に鼻で笑われて、いったい全体、歳相応の休日の過ごし方ってどん…

もしもピアノが弾けたなら

思いのすべてを歌にして きみに伝えることだろう。DREAM PRICE 1000 西田敏行 もしもピアノが弾けたならアーティスト: 西田敏行,桃井かおり,阿久悠,池田充男,喜多條忠,みなみらんぼう,坂田晃一,飛澤宏元,木森敏之,山本寛之出版社/メーカー: ソニー・ミュージ…

どこかで春が

「どこかで春が生まれてる どこかで水が流れだす どこかで雲雀が鳴いている どこかで芽の出る音がする」 という有名な童謡は「山の三月 そよ風吹いて」と続く。 三月はまだ先だけれど、もうずいぶんあちこちで春が生まれているんだな、もう春はすぐにやって…

鬼の棲家

先週末は同窓会があった。前に一度同窓会をしてから幹事の子たちが張り切ってしまい、定期的に会合がある。 小学校の頃はクラスも違ったせいか、全く昔の印象がないアヤちゃんは同窓会のたびに少しの酒でひどく酔っ払って大騒ぎをして、必ず誰かに介抱をされ…

まきつまかれつ

節分が終わればもう春です。そして新しい年です。 皆様あけましておめでとうございます。もっともだいずなこと - 90億の神の御名ひとつ前の記事にて、あれこれと思いをめぐらせた豆まき。もちろんきちんとまいたとも。そしてまかれたとも。豆まきの手順を胸…

もっともだいずなこと

今日は節分です。今日は節分です。(だいずなことなので2回)— NHK広報局 (@NHK_PR) 2015, 2月 3受験生だった頃、通っていた代々木ゼミナールの壁には大きく書かれていた。 「僕たちの正月は3月だ!!」 ・・・力強い。昨年末はうきうき浮かれてベトナムへ行っ…

Still Alive

サタデーナイトフィーバーはStayin' alive。 それは「生きている」ことと「まだ生きている」ことの違いなのかしら、どうかしら。昔、家に画集が2冊だけあった。多分父が廃品回収あたりで拾ってきたのだ。1冊は竹久夢二。もう1冊は東山魁夷。廃品回収に出され…

地の塩

これは鎌倉の塩の道。 鎌倉時代、海から塩を運ぶために石を切通して道を作ったのだそうだ。大昔の技術で必死に岩を砕いて道を作らねばならぬほど、塩は必需品だったのだな。子供の頃、通っていた教会学校では聖書からの言葉をとった「聖句かるた」というのが…

中国からのスロウ・ボート

不謹慎で申し訳ないことですが、9月頃、私は「お!そろそろキノコ狩りの季節だな。中毒ニュースに気を付けねば」と思っておりました。きのこの食べ方 - 90億の神の御名はい、もう、本当に不謹慎でアレですが、わたくし、皆様がどのような過程できのこ中毒に…

ありのままで

ものすごくまずいお土産を買ってくることに定評のある主任が最近おとなしかった。ここ最近では海外旅行よりも国内のマラソン大会に夢中だったようで、100キロマラソンに出るとか浮き浮きしていたり毎年参加している沖縄マラソンに落選したと言ってしょんぼり…

シンデレラストーリー

年末、昔の職場で割と仲の良かったオカマ先輩から「新年会でもやらないか」とメールがきたので、「いいわね。私は今ベトナムにいるから詳細は他の人と話し合って決めてほしいの」と返信したら、即座に返ってきた答えは「あらやだ、里帰り?」・・・ええ。東南ア…

我々とあなたがた

久々にふとNHKFMを聴いたら、「ラブレーと音楽」という特集だった。 フランソワ・ラブレー フランス・ルネサンスを代表する人文主義者、作家、医師。 中世巨人(ガルガンチュア)伝説に題材を取ったパロディー物語『ガルガンチュワ物語』と『パンタグリュエ…

夜河をわたる

この冬、最初のオリオン座はホノルルのホテルのベランダから見た。 地上ではオレンジ色の街灯の中、定期的に不思議な音のバスがやってきたり、大声で叫びながら酔っ払ったアメリカ人たちが歩いて行ったり、向いのホテルの部屋で黙々とスーツケースの中を整理…

すてきなひとりぼっち

だれも知らない道を通って だれも知らない野原にくれば 太陽だけがおれの友だち そうだおれにはおれしかいない おれはすてきなひとりぼっち 「すてきなひとりぼっち」 谷川俊太郎 去年は英語の勉強を始めたりして、山歩きの回数がずいぶん減った。最後に行っ…

万障お詰め合わせ

土曜日、かえる姉さんと大学ラグビー決勝を見に行ったら隣の席の老夫婦から可愛らしいお菓子の詰め合わせを2つ頂く。それで姉さんと「子ども会とかでよくこういうのもらったよね」とか言いながら、懐かしい味のクッキーをもそもそ食べた。 なんだかすごくク…

Cool Japan

・・・Cool Japanってなんだよ、さっむー!・・・と思わなくもないけど。 クールジャパン機構*オプションでつけたメコン川ナイトクルーズのガイド、ブンさんによるとベトナム人の乗るバイクの8割は日本製だそうだ。 ブンさんは言う。「イチバンホンダ。ニバンヤマ…

ねずみ色のお粥

一昔前の旭化成のジップロックのCMがいまだに印象深くて、冷蔵庫掃除をするときには必ず思い出す。 考古学っぽい博士と研究者が冷蔵庫を漁りながらやりとりするのだ。 「このアジの開き、化石化している」 「博士!この豚肉、日付が昭和です」 「素晴らしい・…

柘榴・馬鈴薯・蕎麦・そして絵画

子どもの頃、ある日突然父親が不思議な果物を一つだけ持って帰ってきた。丸くて、茶色くて、裂け目を覗くとまるで歯のようにルビー色の粒々が並んでいる。 柘榴を見たのはそれが初めてだった。 「おいしいねえ!」と食べていたら、父親が「この果物を使った…

帰国の襷

あけましておめでとうございます。 昨年は途中からまさかの大ブレーキがかかりましたが、どうにかこうにか月刊ペースで走り切れた一年でした。ありがとうございました。さて、1月1日の深夜にベトナムより帰国し、今日は朝から楽しみにしていた箱根駅伝を見て…

ケイオス

西洋人はカラオケのことを「カラオーキー」と呼ぶ。 そして「カオス(混沌)」の事は「ケイオス」と言う。 私は今、ベトナムで深いケイオスの中にいる。まず、アルファベットにも関わらず読めない。でもまあ、そんなのきっとヨーロッパだってそうよね。フラ…

備えよ常に

肩こりがあんまりにひどいものだから12月は何度か整体に行ったのだけれど、そこの先生が不穏な事を言う。「人間の体ってのはねえ、不測の事態に備えて、とかく蓄えがちなんだよね。しかも蓄え分から使えばいいのに、常に新しいものから使ってっちゃうからさ…