想定外
東名高速道路の御殿場IC付近で事故が多いのは富士山が綺麗に見えるせいだと、以前テレビで言っていた。
みんな富士山の美しさについつい余所見をして事故ってしまうのだそうだ。
そりゃ、富士山が見えたら嬉しいし綺麗だものね、わかるわー。
と疑いもなく信じていたが、最近になって、美しさに余所見をしたのではないんじゃないかと思う。
去年の秋、小田原に向かう電車の中で富士山が見えて、ぎょっとした。
それは本当に心臓をキュッとつかまれるくらいに驚いたのだ。
だってあなた、富士山が!私の想像以上に大きいから!
富士山を見るのが初めてな訳はない。どこにだって「富士山が見えるスポット」はあるし、家からだって頭だけなら見える。写真も死ぬほど見たし、新幹線に乗れば富士山を気にかけているし、通勤途中に少しでも見えた日は、なんとなくいい事があるような気がする。
でも違うのだ。
私がいつも心の中で温めている「見えたらラッキー」な富士山よりもずっとずっと本物は大きくて御殿場や箱根に出かけようものなら、度肝を抜かれるような大きさでそびえたっているのだ。
あまりに驚いて息を呑んだ後で、何枚も何枚も同じような写真を撮るけれど、写真に収まった富士山はもう私の想像力の中に納まってしまう、小さな富士山。
今日も、箱根の山から富士山が大きく見えて、息をのんだ。
まるで、曲がり角を曲がったらそこに人がいた時みたいに飛び上がりそうになる。
きっと、東名高速で事故に遭うドライバーの人たちも、見とれてたんじゃなくて驚いたんじゃないか。
富士山の、想定外の大きさに。
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