精を養う
世田谷線松蔭神社の駅前にあるニコラス精養堂は昔懐かしい、どこの街にもあったような店構えのケーキ屋さん兼パン屋さん。
お店の奥には厨房があって、コックさんがパンやケーキを焼いている。
「精養堂」という名前だけでもレトロ感満載の所に「ニコラス」とついたらもう、キリシタンと文明開化とザビエルと長崎及びさだまさし・・・と様々なイメージが連想ゲームのように頭を駆け巡る。
「精養」という言葉で思い出すのはもちろん上野の精養軒だ。
かねてより、何故洋食屋がそんなラーメン屋みたいな名前なのかが気にかかっていたのだけれど、精養軒のホームページも特にそのことには触れていないようだった。
まあ、「西洋」と音をかけた上に、当時は珍しい肉や卵をつかった料理だから「精を養う」っていう意味合いもかけたんじゃないかと勝手に推測しているのだけど。
ほら、昔の人っていろいろ上手い事言ったりするもんだから。
このお店ではお惣菜パンやクリームパンがサランラップに無造作に包まれて売られている。
テレビや雑誌でも紹介されたお店のようで、店内は大変に混みあってレジ待ちの行列ができているのだが、この行列の中でサランラップに巻かれたパンを持っていると、学生時代に戻ったような錯覚に陥るものだ。
かつて、短い休み時間に必死で購買にかけつけ、サランラップに包まれたパンを奪い合っていた日々があった。
サランラップに押しつぶされたパセリ。サランラップに密着した玉子サラダやケチャップやソースまみれのコロッケ。そういったものが、この上なく魅力的に映っていたあの頃。
ニコラス精養堂(東京都世田谷区若林) クリームパン 110円
パン:冷めているせいか、ちょっと固くて重い感じ。温めるといいかも。
クリーム:卵っぽくて懐かしい
☆☆
そうだった、そうだった。
こういうもので精を養って我々は青春時代の真ん中を生き抜いてきたのだった。
まあ、当時、クリームパンなど眼中になかったけれど。
いろんな懐かしさのクロスオーバーするお店ね、ニコラス精養堂。
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