お茶と宇宙と英国と
ずいぶん前に下のツイートが回ってきて、ほう、と思った。
英国人が書いたお茶に関する本に、英国、中国、日本のお茶についての記述があり、日本だけおかしかった。英国はお茶を入れる温度や一緒に食べるケーキ、中国もおいしい淹れ方にこだわる。だが日本人は、お茶にいきなり宇宙を見いだしたり哲学を見いだす。その本にも『この国はおかしい』と書いてあった
— t-lavさん (@t_lav95) 2011年8月13日
確かに英国人にはおかしい事だろう。
茶道だけではなく枯山水のお庭にも華道にも何にでも宇宙や哲学を見出す我々日本人が。
凝りに凝った挙句に、余計なものを捨て、そして宇宙を感じてしまうのだ。突然悟るのだ。
そんな日本民族の一人として、この私がクリームパンの中に宇宙を見出してしまうのも無理はない。
見よ、この深遠なる空洞を。
どうだ、宇宙を感じないか?
香麦里(コープかながわ店内ベーカリー)クリームパン 130円
パン:硬い。あんまり味がない
クリーム:クリームというより香料の強いプリンがパン底にへばりついてる感じ
☆☆
ところで、先日読んだ鈴木孝夫著「ことばと文化」という本に、英国人に関する興味深いエピソードが書かれていた。
まず、英国人はお茶の温度に非常にうるさく、やかんをグラグラに煮立たせて本当の熱湯でお茶を入れることを要求するのだそうだ。「やかんをポットに持っていくな、ポットをやかんに持っていけ」という人がいるぐらいなのだそうで、小説の中でも、愚鈍な女性が煮立っていないお湯をポットに注ぎ、上司に怒られるシーンがあるらしい。
そのこだわりは「煎茶は80度、玉露は50度で煎れよ」という日本人のこだわりと何が違うのだ。
また愛犬国家英国の民は、犬を完全に支配し隷属させる事を当たり前としているらしく、厳しく躾けられた犬達は家の中で不必要に吠え立てたり騒いだりすることがないどころか、よその犬と会っても吠えることも駆け寄ることもないのだそうだ。
電車の中で他人の匂いを嗅ぐような失礼な真似もさせないそうだ。
そして何らかの事情で飼えなくなってしまった場合には、苦しまないようにひと思いに射殺するのが優しさであり、野良犬にしてしまう日本は残虐なのだそうだ。
・・・あのですね。
確かに我々日本人はお茶にもお庭にも何にでも宇宙や哲学を見出すおかしな人間かもしれませんがね、赤子にも犬にも、生きとし生けるもの全てに理性的行動を求める英国人だって、相当おかしくありませんかね。そんな風に抑圧しているから猟奇的事件は英国から始まるのではないですかね。
と、若干憤りながら、私はクリームパンの宇宙に思いを馳せるのであった。
- 作者: 鈴木孝夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1973/05/21
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