90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

野に咲く花のように

西丹沢の檜洞丸という山に行ってきた。ガイドブックには「上級者向けの山」と書いてあるし、駅からのアクセスが悪いこともあって、敬遠していたのだけれど、以前に山で知り合ったご夫婦が連れて行ってくれたのだ。

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ブナの緑が美しい山道を歩いて、滝があったり、沢を渡ったり、道が変化に富んでいてとても楽しく気持ちがいい。

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両脇にバイケイソウが生い茂るこんな木道を歩いていると、まるで丹沢ではなくて尾瀬かどこかにきたような気持ちになる。たくさんの植物を見ることができるし、緑が美しいし、アクセスが悪いのに、こんなにたくさんの人がいるのもわかるわ、と思っていたが、後になって、今がツツジの時期だからこんなに人が多いのだということを知った。
この山にはトウゴクミツバツツジ内親王愛子さまのお印の花であるシロヤシオゴヨウツツジ)が咲く。そして今が丁度その時期なのだ。おかげで立派なカメラを持っている人がたくさんいて、シロヤシオトウゴクミツバツツジを撮影していた。

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私のiPhoneではボケボケになってしまったけれど、これがシロヤシオ。5枚の花弁が可愛らしく、葉っぱも花と同じように5枚セットになっていて、葉っぱの先端は少し赤い。
皇室にそれ程興味はないのだけれど、この素朴で清楚な花を見ていたら、ああ、あの子はこういう女の子なんだな、となんとなく好感をもった。

よく、お庭のあるお家の人は、子供が生まれると記念樹を植えたりするという話を聞く。あれが本当に羨ましかった。友人は2月生まれなので、自分の梅があると言っていた。だから、梅の花が一番好きだと。
そういう、自分の花があるのって本当に羨ましいなと思うが、私にもないわけではないのだ。お庭はないが、私が生まれた際に「病院の窓から見えたので、この子の花はコレ」と母が勝手に決めたらしい。夾竹桃だ。

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いいんだけど。夏っぽくて。
とても強い花で手間がかからないので、高速道路の真ん中や学校、病院によく植えられている。原爆が投下された後の広島では夾竹桃の花ばかりが残って咲いていたそうだ。おまけにアルカロイド系の毒を含むんだって。
いいんだけど。いいんだけど、なんかあんまり・・・「私の花は梅なの」とか「私のお印はゴヨウツツジです」とか、誇らしげにアピールできる感じがしない。
まあ、振り返ってみれば私には夾竹桃がお似合いだな、とも思うのだけれど。
でも、本当はやっぱり素朴で清楚で可愛らしいシロヤシオみたいなお花がいいな、と、思ってしまいながら、この花に見とれていた。

下りが長くてヘバりかけたけど、気持ちの良い山行だった。