90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

失われた時を求めて

弟の誕生日は七夕。私の誕生日は納豆の日
思春期に母親に「何故、もっと頑張って七夕に産まなかったのか」と食って掛かった所、反対に叱られた。「あたしは七夕生まれにしてやろうと努力したわよ!アンタが出て来なかったんでしょ!」

同じ誕生日の有名人はマルセル・プルースト。「失われた時を求めて」という小説を書いた人。タイトルには心惹かれるが読んだことはない。なにせ長い。

もう、相当アラフォーなので何も目出度いことはないが、納豆の日なので忘れがたいらしく、友人たちが律儀に覚えてくれていて、昨夜はみんなでスペイン料理屋でご飯。
その後、お茶をしようと思ったら目ぼしいカフェが軒並み満席で、サーティーワンアイスクリームに入った。
うーわー、久しぶり、久しぶりすぎる!どれにしよう!きゃあきゃあ騒ぐけれど、結局は私の定番、チョコミントとラムレーズン。こういう時、冒険できない保守的な性分。

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いい年した女が4人集まって、目の前に雪だるまみたいなアイスのカップおいて、ニコニコしちゃって「なんか夏休みっぽい」「小学生みたいな気分」と浮かれはしゃぐ。そうね、本当に小学生みたいな気分。どうして、サーティーワンってみんなしてこんなにも子供の頃を思い出しちゃうんだろうね、と不思議な気持ちでピンク色のスプーンをくわえていた。

私が子供の頃、近所に米軍基地があって、7月4日のアメリカ独立記念日には基地が開放されるので、友達と一緒に出かけた。それで基地の中のサーティーワンでアイスを買って、お祝いの花火がバンバン打ち上げられるのを見ながら芝生に座ってアイスを食べた。毎年、あの基地の花火を見ると「ああ、夏が始まる、もうすぐ夏休みだ」とワクワクした。

カナブンが舞い込むほど真っ白に光るサーティーワンの蛍光灯の下、「ちょっとちょうだーい」と分けあったりしながらアイスを食べていたら、私たち4人共が、日焼けした真っ黒な体に派手な色のワンピースを着た小さな女の子で、サンダル履きの足をブラブラさせながら、ませた口をきいているだけのような、そんな錯覚を起こしそうになった。

また一つ年をとって、少女時代は更に遠くなったというのに、こうして失われた時がふと、夢のように立ち返ってきたりもする。
おかげさまでいいお誕生日でした。どうもありがとう。