90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

そうめん狂騒曲

あれはまだこの世に流水麺がなかった頃。遅番勤務を終えて23時近い電車に揺られながら、頭の中はそうめんでいっぱいだった。
「ああ、そうめん食べたい。今すぐ食べたい。でも、そうめんてファミレスにないもんな・・・。茹でる?今から?薬味も買って?なんてめんどくさい!でもそうめんが食べたい!」
別にそうめんを茹でるなんて大した手間ではないのだ。でも、当時の家はガスコンロじゃなくて電熱器だったし、何より疲れて帰ってお湯沸かして、というのが果てしない作業のように思われた。

その後も何度も、突然そうめんが食べたくなるという「そうめんフラッシュバック」に襲われた。そういう人が多いのか、いつしか世の中には「流水麺」が出回りだしたが、あれって何でいっつもそうめんばっかり売り切れてるの・・・。しかものびてるし・・・。
そんな訳で、夜遅くまで働く一人暮らしの人間にとって、そうめんとは「自分でやり遂げなければならない」「だれも助けてはくれない」という事を厳しく教えてくれる食べ物であった。

しかし、アナタ、奈良に行ったら、あちこちの茶店の軒先に書いてあるじゃないですか。「そうめん」て!
あまつさえ、「そうめん定食」って!!

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それで看板の写真をパシパシ撮っていたら、友人に「何撮ってんの」と呆れられる。だって!私が今までそうめんにどれだけ苦しめられてきたと思ってるのよ!

これは西日本の文化なのかしら。それとも私がぼんやりしてて気が付かなかっただけで、本当は関東でも夏場はお店でそうめんを扱っているものなのかしら。
インターネットで調べたところ、やっぱりyahoo知恵袋に何件も「どうしてそうめんは飲食店のメニューにないのですか」という質問があったし、それに対する応えは「うちの地域ではありますよ(広島)」というようなものが多かったので、私のようなそうめん難民はきっと多くいるのだろうし、地域によっては普通に飲食店でそうめんを扱っているものなんだろう。
そういえば春日大社の茶店のテラス席には流しそうめん用の竹筒がセットされていた。西の人はそうめん好きなんだなあ。

「あ、そうめん!」「ここにもそうめんある!」と、そうめんばっかり見ていたら当然食べたくなるもので、帰宅後、一昨日もそうめん。昨夜もそうめん。

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薬味や、古漬けの刻んだのや犀の目に切ったトマトを乗っけてぶっかけスタイルで食べるのがお気に入り。
転職したら、夜遅くまで働くことがなくなったので、こうしてそうめんを茹でる心の余裕もあるってもんだ。
・・・でも、外でそうめんが食べられるって、ちょっといいよなあ。噂によると、缶詰みかんやさくらんぼがのってるんですってね。あー、うらやまし。