90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

暇にまかせて

暇なんだろう。
徒然なるままに日暮らし球場に向かいて、木曜日は会社帰りに東京ドームで都市対抗、土曜日は相模原球場で高校野球2試合、日曜日はまた東京ドームで都市対抗野球2試合、月曜日は有給とって保土ヶ谷で高校野球2試合、火曜日は都市対抗決勝。

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幸運なことに、今年は屋外の球場でもまだ、そんなに炎天下というほどではない。時折吹き抜ける涼しい風に吹かれて、守備位置につく選手を見ながら、野球好きの正岡子規の歌なんか思い出している。暇だから。

九つの人 九つの場につきて ベースボールのはじまらんとす


どれだけ暇なんだという話だが、仕事中にふとおかしな妄想に耽ることがある。
坂本龍馬がタイムスリップして今隣にいたら、FAXやメールやPDFについて、どう説明してわかってもらえばいいだろう。あの人、絶対こういうものにものすごい興味を示して食いついて来そう。でも、そもそも書類をデータ化するっていう概念をどうやって教えたらいいかしら。説明してるうちにものすごくイライラするんだろうな、私。あと、悪いけどあの人、臭そう。
・・・暇にも限度があるだろう!・・・とお忙しい方々は青筋立てて怒ることでしょう。大変申し訳ない。しかし、ついついそんな妄想をしてしまう。特に坂本龍馬のファンでもないのだけれど。

仕事中の妄想に現れるのはどういうわけか坂本龍馬だが、野球観戦中の妄想に現れるのは正岡子規だ。外野席からぽつんと試合を見渡していると「ああ、正岡子規に見せてやりたいなあ」と思う。相当病弱だし、わがままのようだし、ファールボールが飛んで来ても逃げられなさそうだし、実際にいたら試合観戦どころではないかもしれない。
でも、野球の歌をいくつも詠むほど、野球用語を日本語訳するほど、野球が大好きな人らしいから相当喜ぶだろう。ルールだって極端に変わってるわけじゃないから、きっと一緒に楽しめるだろう。昔の日本人よりも身体能力が上がってるから、子規だってきっと大興奮するだろう。高校野球ではやっぱり故郷の愛媛、今治西高校や済美高校を応援するんだろうか。
球場にわんわんと鳴り響く社会人野球の応援の音を聞きながら、ぼんやり子規が隣にいたらと考えている間に試合は延長戦に突入しタイブレーク方式になった。

今やかの 三つのベースに 人満ちて そゞろに胸の 打ち騒ぐかな

ああ、見せてやりたかったなあ。
暇にまかせてしみじみ思う。

病牀六尺 (岩波文庫)

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