90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

想像の限界

夜空に輝く星座を眺めるたびに毎回ギリシャ人の想像力はものすごいな、と感嘆する。
例えばオリオン座は星の並びに下の図のような肉付けをされて、「オリオンそっくり!」とその名を付けられている訳だけれど、呼び名として定着するためには、誰もが「ああ、確かにオリオンだね」と思う必要があったはずだ。誰が見てもあの星の並びを見て「オリオンそっくり」と古代のギリシャ人は本当に思っていたのだろうか。
おまけにどの絵を見てもオリオンの左膝は曲げられている。あの星の配置から曲がった膝まで見えるのか、ギリシャ人には…。
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そこへ行くと、日本の星への名付け方は非常に直接的でわかりやすい。オリオンは鼓の形に似ているから鼓星。確かに鼓!カシオペアは山形星。大熊座のしっぽは北斗七星、またはひしゃく星。夜空にどっかり座って自分は動かない北極星は番頭星。夕方の空に明るく光る金星は宵の明星、一番星、またはご飯を作る時間だから飯炊き星。

わかりやすい。ほぼ、想像力など必要ない。
・・・それは私が日本人だからかしら。文化の違いというやつかしら。ギリシャ人が聞いたら「ひしゃく星って!どこがひしゃくだよ!日本人の想像力ってどうなってんの」と笑うだろうか。


昨日は友人たちと浜松町で観劇して来た。帰り道、真正面に東京タワーが青く光るのを見て友人が「あ、ドラえもん!」と歓声をあげる。
え?何を言い出すの、この子・・・。と呆気にとられている私に友人は「ほら、ドラえもんじゃない!青いでしょ?」と繰り返す。青ければドラえもんって・・・どういうことなの、なんなの、これは。
困惑する私に他の友人が教えてくれた。なんでもドラえもんの作者の藤子・F・不二雄生誕80周年の記念イベント関連で3日間だけ東京タワーがドラえもん仕様にライトアップされるのだそうだ。

「ドラえもん」カラーの東京タワー再び 3日間限定で復活 - ねとらぼ

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そして本来は上の写真のような姿で真ん中に鈴をつけてドラえもんらしさを出すのらしいが、今は上半分のライトが消えてしまっていて鈴もないから非常にわかりづらいのだ、とのこと。

なあんだ、良かった。ちゃんとした姿なら想像力を使わなくてもそれなりにドラえもん的に見えるものなのね。
私、今、古代ギリシャ人に「あれがオリオン座。ほら、オリオンそっくりだろ」と指さされて「え、どこが!?」って思ってる時みたいな気持になってたわ。

そう言ったら友達にひどく笑われた。
だってしょうがないじゃない、想像の限界を感じる時、いつも頭に浮かぶのはギリシャ人の星座の名付け方なんだもの。

こうして今月の満月も大笑いして過ごせましたとさ。