なる
土曜日、山友達のおじさんとお姉さんに、浅間山の近くにある篭ノ登山という山に連れていってもらった。
さすが実りの秋で、いろいろな実がなっていた。今まであまり山の植物に興味はなかったけれど、こうしていろいろ見ると、だんだん知りたくなってくる。
辛うじて残っていた、という風情の実。ルビーのピアスのようでとても美しかった。名前がわからないので「ルビーの実」と呼んでいたけど、どうやらコケモモらしい。これがあの、童話によくでてくるコケモモなのか!とても可愛らしい。
あざみの綿ぼうし、もふもふ。
この白くて丸い実を見つけた時、思わず「あっ」と声をあげてしまった。下が木目込みみたいに割れていてふっくらとして不思議な実。帰ってからすぐ調べたら「白玉の木」という名前らしい。名前も、実の佇まいも絵本に出てきそう。食べると湿布の味がするんだって。
紅葉はこんな感じで落葉松の黄色が強い。
これはゴゼンタチバナ。コケモモと違って透明感のない感じ。
「ブルーベリーだよ、食べてごらん」と言われて食べたら、まだ固い桃のような味がして酸っぱかった。帰宅後調べたらブルーベリーじゃなくて、「オオバスノキ」だって。毒じゃないから良かったけれど、やはり人に言われたからってすぐに浮かれて口にいれてはいけないな。これがきのこだったら死んでるかもしれない。
この稜線を歩いてきた。
ナナカマド。七回かまどにくべても燃えないからナナカマドと言うらしい。葉っぱも赤く色づいて美しかった。やはり赤は目を引く。こんな美しい色が木の中のどこに潜んでいたのか、紅葉の時期はいつも不思議になる。
そして最後は松ぼっくり。そう言えば、松ぼっくりが木になっているところを見たことってあまりなかった。
翌日、妙義の近くで猿を見た。ささっと逃げられてお尻だけになってしまったけど、おんぶ猿。
子猿。松ぼっくりが食べられたらいいね。コケモモも食べられたらいいね。
帰り道、車の窓から見える景色に「りんごがなってる」「柿がなってる」「からすうりがなってる」と歓声をあげながら、「なる」というのは優しくて素敵な日本語だなと、ふと思った。
漢字では「成る」かと思いきや「生る」と書くのだそうだ。木に生まれて木に育つか、誰かに食べられて誰かを育てる糧になるか、生まれて生きて、命をつないでいくために実が生る、それはとても有り難いこと。