90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

おいしい生活

ここ最近食べたものについて。

妙義山の道の駅にすごい椎茸が売られていた。アメリカサイズのバーガーキングのバンズみたいな、直径20cm厚さ3cmくらいの巨大な椎茸。
なんという椎茸!と圧倒されつつ、巨大椎茸には手を出さず、手頃サイズの椎茸を買った。それでも直径10cm厚さ2cm程の立派な椎茸だ。グリルで焼いて椎茸ステーキにし、ポン酢で食べると美味しいと言うので試してみた。おお、この食べ応え、ジューシーさ、これはもはや肉のようだわ。

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それにしても、ふと気が付けば写真フォルダの中に椎茸の写真が結構あった。あの肉厚さや傘の裏のひだの美しさに、毎回胸ときめかせて写真を撮ってしまうのだ。5年前、まだ前の富士フイルムのデジカメで撮った椎茸の写真も、その堂々とした姿になかなか捨てる事ができずに残っている。それをしみじみ眺めながら、「今使ってるSONYのデジカメよりも富士フイルムのデジカメの方が使いやすかったかも」なんて考えた。デジカメもまさか椎茸の写真を基準に、その善し悪しを判断されるとは思わなかったろう。

「毎回」と言えば、友人はどこに行っても、にしん蕎麦があれば毎回、にしん蕎麦を頼んでしまうと言う。そして食べながら、微妙な顔で言うのだ。
「いつも思うんだけどさ、にしんと蕎麦、別に一緒じゃなくていいんだよなあ」
それなら何故にしん蕎麦を頼むのだ、と思っていたが、柿の葉寿司に出会ってから、なんとなくその気持ちがわかるようになった。何故か、使命感のようなものがあるのだ。「柿の葉寿司を頼まなければ」と。

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それでこないだの奈良旅行、着いた日のお昼はやっぱり柿の葉寿司にした。ぼりぼりと甘酢生姜を齧りながら「見た目通りの味なんだよな、決して期待を上回る食べ物である訳じゃないんだよな、なのにどうして食べようとしまうのか」なんて事を考えた。

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これは次の日、奈良県庁前の青空市のような所で売られていた「めはり寿司」
めはり寿司ってなあに?と、玉こんにゃくを温めているお兄さんに聞いたら「和歌山の名物で、農作業の時なんかに持って行った、おにぎりに高菜を巻いたもの。各家庭でその時家にある残り物を中に入れたりする。今日は昆布と鮭が入っています。本当はもっと爆弾みたいに大きくて、目ぇ張って、大きく口張って食べるからめはり寿司って呼ぶんです」との事だった。
目を見開くこと、「目を張る」って言うんだな。「目ぇ張り、口張り」って言いながら、めはり寿司を食べる真似をするお兄さんの表情がとても良かった。「今日は昆布と鮭」と3回くらい繰り返すのも良かった。
それで夕ご飯用にお買い上げ。

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お昼、「ごはんの間」という素敵なお店で本日のランチ、天ぷらを食べた。
出汁で炊いた大根が天ぷらになっていて、ほおー、と感心した。隣に座った地元大学生らしき4人組の女の子達が「この、おでんの大根の天ぷら、もはや名物だよね」と盛り上がっていた。
そうなのか、名物なのか。そして、この薄味の出汁で炊いた大根を「おでんの大根」と言うのか。ふーん、こっちのおでんはどんな感じなのかしら、とおでんスパイのように目を光らせた。

本当は、もっと最近の写真まで載せて一覧形式で記事を書こうかと思っていたのに、まるで子供のアルバムを見せてはあれこれ小さなエピソードを自慢する親バカのように、あれもこれもと書いていたら、ずいぶん長くなってしまった。

ブリア・サヴァランの「美味礼賛」に「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間かあててみせよう。」という有名な言葉があるが、このラインナップで私は一体どんな人間だと思われるんだろう。「言ってみたまえ」なんて雄々しく語るフランス人に。
まあ、とりあえず、日々それなりにおいしく楽しく過ごしてます。