90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

内緒のあんこ

一昨日、生協からこれが届いた。ふふふふふ。
どーん。

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富士には月見草がよく似合う。
あんこには夜更けの内緒話がよく似合う・・・気がする。
昔、父が出張で居ない日や帰りの遅い冬の夜更けに、時々母が「ねえ、おしるこ食べない?」と戸棚からゆであずきの缶詰を引っ張りだしてきたものだ。それで、わくわくした気持ちを隠すためにひそひそ声で話しながら二人でおしるこを作って食べた。お茶とお漬物も用意して、父の悪口も言ったりして。

今ではもうなくなってしまったけれど、飲み友達のまいこちゃんがカフェバーを開いていて、よくそこでお酒を飲んだ。ネパール料理やチャイがメインのお店でお酒もククリラムというネパールのラム酒やロキシーという焼酎が置かれていた。このククリラムというお酒はウイスキーみたいにガツンと濃い大人味のくせに、匂いはバニラエッセンスのように甘い。そこが私のお気に入り。

お客さんが私だけしかいなかったある夜、コンロで牛乳を温めていたまいこちゃんが突然、冷蔵庫から黒っぽい何かを取り出して鍋に入れようとする。それ、なあに?と聞くと、まいこちゃんはふふふと笑って教えてくれた。
「あんこです。好きなんです。これだけ舐めたりもするけど、ホットミルクに入れるのも好きなんですよー、飲みますか?」
そうして出してくれた、あんこ入りホットミルクはとても優しい味だったけれど、もう一つパンチが欲しくてふと思いつきを口にしてみた。
「ねえ、このあんこ入りホットミルクさあ、ククリラムをちょっとたらしたら、すっごくいいんじゃない?」
あ、絶対いい、それいい!間違いない!・・・と二人して浮かれて、必要もないのに禁酒法時代みたいにコソコソしながらホットミルクにラムを注いだ。広がる甘い香り。一口飲んで顔をパッと輝かせたまいこちゃんは
「お金のにおいがする、まめさん、これお金のにおいがするよ、これは店に出せる!」と狂喜した。
それで急遽、夜更けにああでもない、こうでもない、と「あんこ入りホットミルク、ククリラム風味」の名前を考えたものだ。まいこちゃんは、私が言った「ラムあんこ」という名前に「まめさん、それないわ」と爆笑したくせに、結局「ラムしるこ」という名前にして1杯400円で売りにだした。ねえ、「ラムあんこ」と「ラムしるこ」ってそんなに違う?
・・・そんな制作過程も内緒話。


昨夜は早速、おしるこを作った。ひそひそ話がしたくなるくらいに美味しかった。
それで、これは内緒なんだけど、甘くなった口を直すのに大根のなますが最高に美味しくて、「昨日なますを作っておいた私って超天才!ちょっとキツめのお酢さえ、おしるこに最適!」と盛大に自画自賛しました。
内緒だけどね!