約束
「今年の冬の大雪は、松岡修造がソチに旅だったせい。おかげでソチが暖冬になった。五輪が終わって修造が帰国した途端に日本に春が訪れた!」
朗報 ソチから松岡修造帰国で全国的に春の陽気にwwwwwwwwwww - NAVER まとめ
・・・とまで言われたアツい男、松岡修造がこよなく愛するマンガ「エースをねらえ」を私もまた深く愛している。
その中に、オーストラリア人のレイノルズコーチが、岡ひろみとの試合に負けた、愛娘アンジーにかける言葉がある。
「季節の移り変わりというのは本当に美しい約束事だ。今朝、私が家を出る時桜が一輪、花をつけていたよ。まるでお前にありがとうと言っているようだった」
ひろみの父親は造園業を営んでおり、お世話になったコーチに桜の苗木を贈る。オーストラリアでは厳しい干ばつが続いていたが、アンジーは毎日桜に水をやり続けたのだ。そして「嬉しいわ、パパ」と泣くのですよ、いい話ね。
- 作者: 山本鈴美香
- 出版社/メーカー: ホーム社
- 発売日: 2003/07/01
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ここ最近の私は成長著しい植物たちに心を奪われっぱなしなので、植物の芽吹きや開花によって季節が春になったことを実感していた。
昨日、一昨日は会社の近くの大学の卒業式があったようで、袴姿のお嬢さんたちを見ながら春を実感した。先日のハイキングでは、うぐいすが「ホーケキコ」とヘタクソな鳴き方をしていたので「春だわ」と思った。
季節の移り変わりというのは美しい約束事で、そして様々な方法で人にその約束を見せていくものだ。
学生時代、アマチュア無線関係の会社でアルバイトをしていた。そこには時折、電波障害に関する相談の電話がかかってくることもあった。ある日、電話を取ると、神経質そうな声の男の人が開口一番「テレビが僕の悪口を言うんです」と言い出すではないか。
え!
と絶句した後、慌てて保留にして上司に「あの、なんかおかしな事を!」と報告すると、上司は一言「ああ、春だね」と言った。
・・・いや、確かに春は、おかしな人が増えるっていうけどさ、でもさ。
また別の日には「電波が刺さって痛い」と言われた。顔を強張らせて報告するも、上司はやはり「春本番だねえ」と言うのみであった。
・・・そんなことで春を実感するって、どうなのよ・・・。
新しいスプリングコートをおろしたけれど、まだ少し肌寒い日もある。今日もそうだった。
雨上がりの夕方、「寒いわー」なんて言う人たちとすれ違いながらスーパーに入ったら、お菓子コーナーから私の愛するロッテのチョコレート「ラミー」が姿を消していた。
そのアルコール分の高さ故、溶けやすく、冬季限定販売のラミー。
虚しく残る空き箱を見つめながら「ついにこの時が来てしまったのね。覚悟はしていたけれど、サヨナラも言わずにいなくなってしまうなんて」と寂しく思った。
ああ、もう本当に春なのね。春は出会いと別れの季節。さようなら私のラミー。また来年。
ため息混じりに空を見上げたら、冬の間冴え冴えと光っていた星たちもなんだか少し霞んだように見える。
さようなら、ラミー、さようなら、冬の星座。
こんにちは、花粉症、土の匂い、桜の花。
季節の移り変わりは美しく、そして確実な約束事。