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90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

乙女の祈り

三軒茶屋からぶらぶらしていたら、住宅街の中に突然パン屋さんがあった。まだ開店したばかりらしい。
女の子が「将来はパン屋さんになりたいなあ」って言ったら、きっとこういうパン屋さんを夢見ているんだろうな、という可愛らしい佇まいで、小さなお店に入ると、西洋の看護婦さんみたいな制服に身を包んだ女子達が、小鳥のようにぎっしりとレジに並んで「いらっしゃいませ」と微笑んでくれる。

窓際には座ってパンを食べれるようにテーブルが2卓ある。
それは、ホームセンターで買ってきたベニヤ板を直線的に裁断して釘を打っただけの、塗装さえも施されていない机と椅子なのであるが、この乙女の園では、そんな「お父さんの日曜大工的作品」でさえ「ナチュラルな感じ~」「木の温もりが~」などと言われて当然という風体である。

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petersen(世田谷区若林) クリームパン 126円
パン:甘みがあって表面がカリッとしてておいしい。
クリーム:ぎっしり入ってるけど味が薄くてイマイチ
☆☆

芥川龍之介侏儒の言葉に書いていた。
「少女。――どこまで行っても清冽(せいれつ)な浅瀬。」
儚い夢に胸を膨らませた乙女のようなクリームパン。

侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な (岩波文庫)

侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な (岩波文庫)