90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

あたたかい夜に

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。 ある、とても寒い雪の夜に、一人の旅人がやってきました。 「すみません。私は旅をしているものです。この吹雪では一夜を外で過ごすことが出来ません。」 おばあさんは快くその旅人を家…

1,2,3,たくさん

パソコンで西暦を入力する時、指がひっかかって2400年なんて打ってしまうと「ああ、その頃には死んでるな」といつもしみじみしていた。 しみじみするだけで済むならいいが、これが発注だと大変なことになる。【ミス?】Twitter誤発注まとめ【商法?】 - NAVER …

Tomorrow never knows

一人暮らし3年目くらいの、ある晴れたゴールデンウィークの午後、近所の大きな家の人がお庭でバーベキューを始めた。まるで外国映画みたいな大きなお家の広いお庭に響く笑い声。漂う肉の香り。あの頃、友人たちと何度も何度も「バーベキューやろうよ」とチャ…

玉虫色の言葉

野球好きの集まる2ちゃんねるの掲示板「なんJ」で使われる言葉に「どん語、どんコメ」と呼ばれるものがある。 どんコメ - なんでも実況J Wiki* 元阪神・オリックス監督を務めたどんでんこと岡田彰布監督のコメント。どん語とも呼ばれる。 ユーモア溢れる独特…

東風吹かば

下田で星を見て、熱海まで戻ってリゾートマンションに泊まった。帰りがてら、小田原の曽我梅林の梅まつりへ。会場で延々と流れ続けるのは「うめぼしのうた」 頭の中で延々とループするタイプの恐ろしいメロディ。桜色の梅と、紅い梅。香りは白い花の方が強い…

夜空ノムコウ

あれから僕たちは。中学生の頃、絶賛中二病だった私は、同じ団地の友人たちと示し合わせて夜中の2時に家を抜け出した。と言っても田舎町のことで、どこに行く宛もなく、近くの川にかかる橋の上のベンチに座って、缶のお汁粉を飲みながら夜明けまで話し込んだ…

走れウサギ

走れウサギ (上) (白水Uブックス (64))作者: ジョン・アップダイク,John Updike,宮本陽吉出版社/メーカー: 白水社発売日: 1984/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る読んだこともない、この本が印象に残っているのは、…

寒くないか、ですって?

寒いに決まってる。 しかし、ファッションアイコン、ダイアナ妃はかつて冬でもコートを着ずに歩き、人から「寒くないか」と尋ねられた時にこう答えたという。 「寒くないか、ですって?いいえ、全然。私はダマールを着ているのよ」 Damart - Ladieswear, Men…

花の色は

十日前の大雪の時に買ったトルコ桔梗の、緑色の蕾がだんだん白く、そしてほんのりピンク色になって、ほころび始めている。トルコ桔梗は気まぐれで、蕾のまま枯れてしまうこともあれば、綺麗に色づかないこともあるらしい。 そんな気まぐれに振り回されてみる…

前略おふくろ様

うっかり電話したら佐村河内話に2時間て!!

Without you

日曜日、近所のおしゃれげホームセンターに土と種を買いに行った。雪かき用のスコップ争奪戦をすり抜けて売り場を見て歩いていたら、キッチンコーナーで不可思議な物を見つけた。 重い。広がる。でも何に使うの?「エクスパンダトリベット」と書いてあるけど…

ダメにする

今日の晩御飯。切り干し大根の煮物の残りの玉子焼き セロリとしめじと豚肉炒め(オイスターソースないからオタフクソースと中華味) わかめと油揚げとねぎのお味噌汁 納豆 ご飯納豆をかきまぜる時、いつも思い出すことがある。魯山人の事じゃない。魯山人は…

どれくらい

バナナスタンド好きな後輩ふみは、臆病なくせして、平気なフリで塀の上を歩いて行く埃まみれの野良猫みたいな子だ。 この例えはわかってもらえるだろうか。 うまく垣根の間をすり抜けていくようにも見えるけど、それなりに苦労もあるらしく毛並みは少し荒れ…

いとをかし

冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず。 霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。 清少納言「枕草子」 今日もまた雪で、先週存分に堪能したからもうそんなにはしゃがない、と思いつつも…

90億の神の御名

90億の神の御名 (ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク 2) (ハヤカワ文庫SF)作者: アーサー・C・クラーク,中村融,岩郷重力+T.K,浅倉久志・他出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/07/30メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (1…

自由(リベルテ)

欲望もない不在の上に 裸の孤独の上に 死の足どりの上に ぼくは書く おまえの名を 戻ってきた健康の上に 消え去った危険の上に 記憶のない希望の上に ぼくは書く おまえの名を そしてただ一つの 語の力をかりて ぼくはもう一度 人生を始める ぼくは生まれた …

デヴィ活

大雪の前の日、かえる姉さんから呼び出しがあって馳せ参じた。 ちょっと遅れて地元のパスタ屋さんに着いたら、姉さんはソファーにどっかりと寄りかかって、眉間にシワを寄せて言う。 「今日さ、占い行ってきたんだわ」 あら、どうだったの? 「あたしね、会…

フェティシズム

小さな頃の弟は、父の脛と自分の脛を見比べて呟いたものだ。 「あーあ、オレも早くおとな毛生えたいなあ」 おとな毛っていうのか、ああいうの。でも確かに大人になると生えてくるんだものね、おとな毛だね。そんなおとな毛が生えはじめる小学校高学年の頃か…

特別な週末

金曜日、友達とご飯を食べて「明日は何十年ぶりに大雪になるんだってね」「そんなこと言ったってどうせ降らないでしょう?」「でも、いざ雪が降ったら外にでなくてもいいように買い物をして帰りましょう」とスーパーに行った。 【地獄】 たかが雪で食料品の…

この恨みはらさで

新婚時代に、風邪をひいた母が、会社に出かけようとする父に「ごめん、今日はご飯を作れそうにないの」と言ったところ、父は意気揚々と「心配ないよ。オレ、外で食ってくるからさ!」と答えたそうだ。 母は未だに風邪をひくたびにネチネチとあの日の文句を言…

名前をつけてやる

okkoさん(id:okko326)に■ネーミングのつぼ - ひぐらしPCに向かいてという記事で言及して頂いて、そうだそうだ、と商品名に関するあれこれを思い出したのですが。実家で使っていたスライサーは、その名も「ベンリナー」ベンリナー 万能野菜調理器 CBV04出版…

ごちそうさま

先月末、小林カツ代が亡くなった。料理研究家・小林カツ代さん死去「私のレシピは永遠に残るのが嬉しい」 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュースよそんちの肉じゃが - 90億の神の御名 前の記事でも書いたけれど、カツ代レシピのご飯を作る度にいつも、「…

From a distance

最近気になっている盆栽も、箱庭も「世界を俯瞰する」「神のような目で物事を見渡す」という辺りがキモになるらしい。そういう点で、箱庭に至っては精神療法にも使われている。 結局の所、「神」というのは物事を俯瞰する眼差しのこと、自分を第三者の目で見…

私、なんだか

私何だか死なないような気がするんですよ―心とからだについての282の知恵作者: 宇野千代出版社/メーカー: 海竜社発売日: 1995/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る「私、何だか死なないような気がするんですよ」という、宇野千代の有名な言…

すごい豆まき・すごい子ども

大人になって「4月から新学期」という感覚の薄れた今、節分が新しいシーズンの始まりだ、という気持ちが強くなってきている。これで小厄も終わるし立春だし、と心待ちにしていたが、福豆コーナーはあまり見ないようにして通り過ぎた。 だって、鬼のお面とき…

夜はやさし

この週末と来たら、土曜日は昼間に祖母とデート、夜は両親と食事、日曜日は昼間は山友達のおじさんと鎌倉ハイキング、夜は高校の先輩たちとの飲み会と、まるで首相動静のようにイベント続きだった。 日曜日の夜の飲み会は遅くなるしな、山から帰って風呂入っ…

おくりびと

声に出して読みたい日本語作者: 斎藤孝出版社/メーカー: 草思社発売日: 2001/09/12メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 59回この商品を含むブログ (98件) を見る昨日に引き続き、本棚の話だけれど、祖父が亡くなってしばらくして、両親と一緒に祖母の家に行…