90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

火葬

環境問題が騒がれだしてゴミの分別がうるさくなった頃は埼玉に住んでいた。市町村が張り切って決めたゴミの分別の仕方は実に細かく、例えばおかめ納豆の蓋のビニールはビニールゴミ、たれパックはプラスチックゴミ、紙容器は可燃ごみ、と言った具合で、覚え…

セミファイナル

なかよしの友達、かえるさんと一番心が通じ合ったのは、お互い百人一首で一番好きな歌が蝉丸だった時。かえるさんは目をまん丸に見開いて言った。「え!!だってさ、みんなもっと「忍れど」とか「ひさかたの」みたいに綺麗な歌を選んだりするじゃん。蝉丸一…

優しさについて

バファリンの半分は優しさで出来てるとか言うけど、優しさなんかいらんのじゃ!欲しいのは効果!今すぐこの痛みを止めてくれること! ・・・と言うくらいお腹が痛かった日、痛み止めを求めて事務所に行ったら、事務所のお姉さんとバイトくんが、何やら真剣に話…

MOTTAINAI

「MOTTAINAI」これは2004年にノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが資源の有効利用を一言で表す国際語として提唱している言葉でございます。詳細はこちら。 MOTTAINAI もったいない モッタイナイ別に資源の有効利用を目指したわけではなく、お客…

神様の乗り物

父方の代々のお墓は広島の宮島の向かいにある。それでいつか法事でお墓に行った帰りに家族で、今まさに出航しようとするフェリーに飛び乗って宮島に行った。夕方の宮島にだんだんと灯りが灯って行く様子は「千と千尋の神隠し」の冒頭のようでとても美しかっ…

ほしいこたえ

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 俵万智 季節外れな短歌だけれど、そう、ただ、「寒いね」って言ってもらいたいだけのことがある。自分の言ったことに「そうだね」って言って優しくされたいだけの時がある。いつか雷がひどか…

海を見ていた午後

ここ最近では、高校野球と青春18切符に追われ、おまけに暑いこともあって全然山に行っていなかった。それでリハビリも兼ねて、山友達のおじさんとお姉さんにハイキングに連れて行ってもらった。コースは金沢文庫から鎌倉天園を通って鎌倉駅。距離は長いけれ…

驕れる者は久しからず

ことわざか何か知らないが、祖母はしょっちゅう「お米とお茶は一度いい物を食べたらもう元には戻れないからね」と言っていた。だから、あんまり贅沢に慣れてはいけないと。 ちょっとご馳走を作ったり、頂き物のお菓子なんぞを出そうものなら、祖母は嬉しそう…

小さき者へ

夏休みの終わりの夕方、スーパーに買い物に行こうとしたら、道端に少年野球帰りと思しき小さな男の子が死んだような目をして座り込んでいたので、思わず声をかけてしまった。まだ小学校にあがりたてくらいの、ユニフォームもグローブも靴も本当に小さな男の…

夏陰~なつかげ~

熱闘甲子園のテーマソングで一番好きだったのは2004年のBEGINの「誓い」と2005年のスガシカオ「夏陰」BEGINの「誓い」を聴くと今でも、最後の打席、笑ってバッターボックスに立っていたダルビッシュくん、新幹線に乗り込む涌井くんの横顔、整列して顔をくし…

見よ、勇者は帰りぬ

うちのチームの主任は永遠の5歳児。好きな食べ物はカレー、好きな動物はパンダ、好きなアイスはあずきバーと「ガツンとグレープフルーツ」、趣味はマラソンと陶芸とバックパッカーの旅。買ってくるお土産は大体まずい。 お盆前に「ものすごくまずいお土産を…

見つめる仕事

昔、「ドモホルンリンクルは見つめています」なんてキャッチコピーで、厳しい品質管理のために抽出した化粧水を一滴一滴見つめてチェックしている、というCMがあった。 もちろん友人たちと盛り上がったものだ。「見つめる仕事がやりたい!!」と。その夢が叶っ…

ロストジェネレーション

これは福島県立美術館で見た長沢芦雪の屏風に描かれたアホな顔の犬。漫画「動物のお医者さん」に出てきた迷い犬にそっくりな気がする。 「この愛くるしい瞳とチョロっと出た舌は、まだ赤ちゃんに違いないよ!」と思っていたら、相当な老犬で、歯がないから舌…

あー夏休み

「貧乏暇なし」とはよく言ったもので、「休み」に慣れていない。劇団時代は盆暮れ正月がかきいれ時だったので、休むなんてことはまずあり得なかった。一応夏期休暇という名目の休みはあったが、通常の休みでさえ取得がままならないのに、夏期休暇なんて使え…

八月は

八月は逝く いくたびも 逝く 逝くものを 残して逝きしうつせみも逝く 山中智恵子 8月6日8時15分、8月9日11時2分、8月15日正午。黙祷の為のサイレンはいつから鳴らなくなったのだろう。 子供の頃は必ず、市の公共放送用のスピーカーからサイレンが鳴って、街…

しじみのチカラ

通っていた高校は「日本で一番金のない学校」とのことであった。本当か嘘かは知らないが、当時、「日本で一番教育にお金をかけない埼玉県の中で、反抗的理由により一番予算を削られている高校」だと噂されていた。 そんな訳で、入学式の次の日に受けた注意事…

星に願いを

毎年、お盆の頃には友人と花火を見に行く。あんまり混んでなさそうな花火大会を探してドライブがてら伊豆高原や熱海や焼津なんかに行っていた。 今年はちょっと時間もあるから遠出しようかと、諏訪湖の花火大会を検討したけれど混雑が激しそうなのであきらめ…

やればできるは魔法の合言葉

本日の高校野球第2試合は愛媛の済美高校が登場だ。常に投げ過ぎの安楽くんが心配だけど、やればできるは魔法の合言葉なんだろうな、そうだな、そうだとも。いつだったか高校の先輩が結婚して一人暮らしの部屋を引き払うというので、男友達が何人も手伝いに駆…

進化の過程

北京オリンピックの時に、初めてトライアスロン競技を見て仰天した。黒っぽいユニフォームに身を包んだ選手たちが浅瀬に我れ先にとひしめく姿はまるでおたまじゃくしのように見えたし、その人たちが水からどんどん上がって走っていく姿は「両生類から二足歩…

とっぱずれ

青春18切符の旅、第2弾で銚子に行ってきた。行きは成田線経由、帰りは総武線。 犬吠埼灯台の資料館で知ったのだが、江戸時代の豪商の古帳庵という人が「ほととぎす銚子は国のとっぱずれ」という句を詠んでいるそうだ。とっぱずれという単語には東の端という…

強い物語

すぐれた作家というのは無数の読者から「どうして私のことを書くんですか?」といういぶかしげな問いを向けられる。(中略) おそらく読者は物語を読んだあとに、物語のフィルターを通して個人的記憶を再構築して、「既視感」を自前で作り上げているのである…

ものすごくまずいお土産

私の直属の上司である主任は、学生時代からずっと休みのたびにバックパッカーになって海外を旅している人だ。 入社したばかりの夏休み前、バックパッカーの旅の話を聞いて「へえ、すごい!いいじゃないですか!じゃあ、お土産を楽しみにしていますね!」と言…

西海の涯

これは長年にわたる観察結果から私が勝手に思っていることだが、碁盤の目に整えられた街並みに住んでいるせいなのか、西の人は関東の人間よりもずっと方角を口にすることが多いような気がする。 「○○の北」「○○をちょっと西に行けばすぐ」「南側の部屋」など…

十万石

会社で毎月1回、震災復興支援の物産展が開かれる。昨日は福島物産展だったのでままどおるを買ってきた。おいしいおいしい!と上機嫌で包み紙を眺めていたら、製造会社名を見つけた。「三万石」 それで更ににんまりするのだ。「勝ったぜ!」と。中学生の時に…

絶対に泣けます

劇団四季の「オンディーヌ」に出演していた加賀まりこが、インタビューで言っていた言葉が印象に残っている。「オンディーヌの3幕の、とても大切なシーンで、いつもは気合が入っているからテンションも高く、ボロボロ涙を流してセリフを言うところだが、100…

赤と黒

先代貴乃花夫人だった藤田憲子さんが歯医者さんと不倫しているという噂が流れた時、週刊誌はこぞって書きたてていた。 「元家政婦激白!医師と会う日は黒のランジェリー!」 電車の中吊りで見ただけだが、男性誌のみならず、女性誌まで鼻息を荒くしてそんな…

夢の飲み物

15歳の春、京都・奈良への修学旅行を間近に控えた教室で、大切な秘密のように語られていたのは、冷やしあめという飲み物について。 「京都には冷やしあめっていう飲み物があるんだって」 「あめなのに飲み物なの?」 「すごく美味しいらしい。べっこう飴の味…

釜めしを買いに

7月頭に釜めしの記事を書いたら、釜めしが食べたくて仕方なくなった。東京駅で販売しているという事までは調べたが、どうにも体調がすぐれず、買いに行けなかった。 それで、奈良旅行の折、私は新横浜から新幹線に乗るのだけれど友人は東京駅からなので「釜…

遠くへ

今日では、どのような旅行も、到達すべき目標や知り合うべき人びとといった準拠を持つ以上に、連続的な軌道上の純粋な移動、いわば乗り換え=トランジットに還元されつつある。われわれはこの旅ならぬトランジットのくり返しのなかで、属領性のひそかな喪失…

頭が真っ白に

「頭が真っ白に!」という、船場吉兆の女将のささやき戦術は、ずいぶん長きにわたって私と友人たちとを楽しませてくれた。お酒を飲んでは事あるごとに「頭が真っ白に!!」「ないです、ないです、ないです!」とひそひそ言い合って大笑いした。そんな友人も…