90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

背中を押して

昨日、会社で同僚が突然「まめりん、聞いて、あたし昨日、無駄遣いしちゃったの!」と言い出した。 どうしたの?と聞くと、「1冊880円する愛蔵版「動物のお医者さん」を買っちゃったんだよー。迷ったんだけど、どうしても読みたかったんだもん。でも高かった…

覆水盆に返らず

去年の夏頃、スペインの教会のフレスコ画を修復したら大変なことになったというニュースがあった。【善意が生んだ悲劇】80代の女性が勝手にキリスト壁画の修復を試みる → 絵が下手すぎて顔が別人に | ロケットニュース24そして、つい先日は中国で修復された…

冬の証人

もしも今、私達のやっていることを本物の恋だと誰かが保証してくれたら、私は安堵のあまりその人の足元にひざまずくだろう。 吉本ばなな「白河夜船」 そう、恋とは証人を欲しがるものだ。 人は皆、どんなに運命的な出会いであったか、どんなに相手が好きかを…

放浪記

林芙美子は放浪記の中で「神様コンチクショウと怒鳴りたくなります」と書いていたけれど、私の今回の旅行は「神様ありがとうと叫びたくなります」だった。1日目、朝6時11分発ののぞみで台風に向かって走る。8時5分京都着。京都まで2時間かからずに着くならリ…

僕らが旅に出る理由

かつて、仕事で電話受付を担当していた頃、日本全国様々な地域の方とお話をした。東北のおじいさんの方言は本当に理解できなくて、咄嗟に「外国人から電話が来た!!」と思ってしまった。 関西のおじさんとは「ええ席ください」「A席ですね?」「いや、ええ…

おもてなし

だいぶおもてなしフィーバーも過ぎ去った頃だとは思いますが。法隆寺の夢殿秋季特別開扉と、興福寺の北円堂特別開扉と、奈良国立博物館の正倉院展と、見たいものが3つも重なっているのだから、もう奈良に行ってしまえ!と代理店に新幹線と宿を手配してもらい…

最初に書くこと

手帳好きはだいたい一度はほぼ日手帳に惹かれてみたりもするもので、数年前、ふと興味を持って、ほぼ日手帳を使っていた同僚のかとちゃんに「どう?1日1ページなんて、かとちゃんはどんなこと書いてるの?」と尋ねてみた。 するとかとちゃんは「えー、私もま…

この広い土鍋いっぱい

何も一人暮らしでこんなに鍋一杯のおでんを作らなくても…と毎回少しの不安と、そして喜びを胸におでんを作る。この前、篭ノ登山に行った帰り、妙義山の近くで玉こんにゃくを買ってきた。群馬と言えばこんにゃくだものね。それで帰宅するなり、すぐにおでんを…

笑ってよ

あらいぐまの絵がとても可愛いまゆ (id:Pcocoon)さんが、記事とコメントで「かわいそうなぞう」という絵本がトラウマになっていて、いまだに象を見ると悲しい気持ちになってしまうと書いていた。 「かわいそうなぞう」は戦争中に、食糧難や、もしも空襲で檻…

なる

土曜日、山友達のおじさんとお姉さんに、浅間山の近くにある篭ノ登山という山に連れていってもらった。 さすが実りの秋で、いろいろな実がなっていた。今まであまり山の植物に興味はなかったけれど、こうしていろいろ見ると、だんだん知りたくなってくる。辛…

その時歴史が動いた

3連休の最後の日は、箱根駅伝2区を歩いてきた。それについてはまた後日書こうと思うのだけど、まず気にかかるのは生麦事件なのであります。 鶴見中継所を出発して2キロあたりから、電信柱にも看板にもマンション名にも「生麦」という地名が大きく書かれ、否…

絶対的晴れ男

森に雨が降り注ぐ音で目が覚めた。 昨日、山友達のおじさんとお姉さんと一緒に東篭ノ登山〜水の塔山に登り、それから池の平湿原を散策して、軽井沢に泊まった。 部屋の前はもう、こんな森で、夜はなんとなく怖くてすぐにカーテンを閉めてしまった。金曜日に…

弟たちへ

母が離婚再婚を繰り返していたので、今の弟二人とは父親が違う。いろいろ家庭裁判も経て母と今の父の元に来たのは13歳の時。父はとてもいい人で、別け隔てもなく接してくれたけれど、なにぶん思春期だったので気まずいことも気後れすることも多かった。 そん…

あれの使いみち

先日、スーパーで買い物をしていたら、入り口のカセットテープが延々と「本日はバナナの日、バナナの日!バナナ、大変お安くなっております。バナナの日!」と繰り返すので、ついついバナナを買ってしまった。こういうの、洗脳っていうのかしら、と思いなが…

はじめに言葉ありき

昔、父親が写真に凝っていて、家に「アサヒカメラ」のような雑誌がたくさんあった。それで私と母は暇にまかせてページをパラパラとめくりながら、他人様の投稿写真を高みの見物で「写真撮る人ってどうしてこんなタイトルつけるのかしらねえ」「タイトルで台…

福袋の法則

中学高校時代、一番仲の良かった友達はシニカルな笑みをたたえて言っていた。 「期待すると裏切られる、これを福袋の法則と言う」 いたく感心して母に、それを教えてあげたら母はずいぶんムキになって答えた。 「そんなことない!そりゃあ千円程度の福袋には…

此岸と彼岸

この世とあの世の間には三途の川が流れていると言う。そして亡くなった人は渡し船であちら岸へわたっていくのだそうで、その渡し賃が六文銭との事。 先日、友人のお祖母様が亡くなられて、友人もご両親と一緒に葬儀を取り仕切ったらしいのだけど、その後で言…

あなたにここにいてほしい

はてなのお友達くみちょうさん(id:Strawberry-parfait)も「秋になると行事盛りだくさんで忙しい」と言っていたけれど、弟の結婚あり、高校野球あり、山にも行きたい、展覧会もたくさん行きたい、旅行も行く・・・と、やりたいことだらけで忙しいわたくし。で…

いつか王子様が

子供の頃、憧れたお話は「眠り姫」 ものぐさなせいかも知れない。自分がぐーすか寝こけている間に王子様が来てアイラビューとか言ってくれるなんて、まあステキ!と思った。それで眠る前にはいつも「王子様が来たらどうしよう、キャー!」と浮かれた想像をし…

ANNIVERSARY

去年の今日、上の弟が入籍して、今年の今日は結婚式。 両親の結婚記念日ですら覚えていないというのに、なぜ弟の結婚記念日を覚えているのかと言えば、お嫁さんが不思議なことを言っていたせいだ。 「入籍の日は、池上本門寺のお会式に行ってきました。結婚…

よそんちの肉じゃが

実家の肉じゃがは、恥ずかしながら豚肉で、何故か竹輪も入っており、そして肉より玉ねぎの方が多くて甘い。思春期の弟は母に冷たく言ったものだ。「お母さんの肉じゃがは、「肉じゃが」じゃねえよ!「玉じゃが」だろ!」 母は答えた。「ちくじゃがです!!」…

なぜならば

「ブログとは何か」「何のために書くのか」「継続するコツは」「アクセス数を増やすには」と言ったブログ論を時折見かけるが、何のために書くかと、もしも私が問われたならば、こう答えよう。 「趣味だから」 エベレストで命を落とした登山家マロリーは「何…

病める時も健やかなる時も

根性なしで不都合な真実からは目をそらしがち。 ドラマでも誰かが殺されそうになったり、不穏な雰囲気になってくると、見るのが嫌になってしまう。マドンナの出演した映画「エビータ」のDVDを持っていたが、あれも見るのは夫がアルゼンチンの大統領になる所…

声に出してみたい日本語

初めてできた親友はひろみちゃん。頭のいい女の子だった。小学1年生の私たちは団地の公園のジャングルジムをお城に見たてて囚われのお姫様ごっこなんかをしたものだったけれど、ある日ひろみちゃんはジャングルジムの上で物憂げにため息をついて言った。 「…

語るべき事

「大体人間を4つの性格に分類できる訳がないだろう!馬鹿馬鹿しい」と怒る人がいる。確かに、と思う。 「大まかな性格の傾向は掴むことができる」と言う人もいる。なるほど、と思う。 「そもそも占いなんて非科学的なものを気にする事自体がおかしいのだ」と…

夢を売る仕事

劇団勤務時代の同僚かよちゃんは元保育士で、「大好きな子どもと遊んでるだけなのにお金がもらえるなんて、いいのかなって思ってましたー」とふんわり笑っていた。同じく元保育士で、私の敬愛する先輩かえるさんは「あたしはそういうのって違うと思うんだよ…

専守防衛

夏生まれのせいか、暑さには比較的強いのだけれど、寒さがとても苦手だ。 冬将軍の前に私は無力。戦う気など全くない。平和を金で買ってやるよ!寒さから逃れるためなら金に糸目はつけないぜ!防衛費増額!と毎年雄々しく思う。近年、石油ストーブは減少傾向…

念のため

前の会社の同僚に二人の娘を持つお母さんがいてみんなに「母さん」と呼ばれていた。ある日の昼休み、母さんは盛大にため息をつきながら言った。「うちのマミカのテストが返ってきたんだけどさあ!」 マミカというのは母さん家の末っ子で確か小学校4年生くら…

下世話な話

【焼けぼっくいには火がつきやすい】 焼けぼっくいとは、燃えさしの切り株や焼けた杭のことで、木杭(ぼっくい)は棒杭(ぼうくい)が音変化したもの そうか、「焼けぼっくり」かと思って焦げた松ぼっくりを想像し、「松脂があるし」とまで思っていたのに、松ぼ…

受け入れる男

年の離れた弟二人は年子で、身内から見ればまるで違う顔に見えるが、他人から見ると双子のようにそっくりらしい。それで幼い頃は大きさのみで二人を区別し「たまごちゃん」と「うずらちゃん」と人から呼ばれていた。もちろんたまごが長男、うずらが次男。命…