90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

放浪記

林芙美子は放浪記の中で「神様コンチクショウと怒鳴りたくなります」と書いていたけれど、私の今回の旅行は「神様ありがとうと叫びたくなります」だった。

1日目、朝6時11分発ののぞみで台風に向かって走る。8時5分京都着。京都まで2時間かからずに着くならリニアなんていらないんじゃないか。
近鉄奈良世界遺産フリーキップ(2日間有効1900円)にて法隆寺へ。丁度10時でお寺の鐘が鳴っていた。鐘が鳴るなり、法隆寺

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修学旅行や遠足の学生さんがたくさん。そしてすごい勢いで、ほぼ何も見ずに通りすぎて行く。
そうだった。学生さんには「行った」という実績が大切なのであって、何を見たかではないのだった。私だって何も覚えてないもんな、修学旅行で来た京都・奈良。

3時間程見て回って、近鉄奈良に戻る。ホテルに荷物を置いてから東大寺へ。
夏に来た時は二月堂まで行かなかったので行ってみたかった。
が、二月堂を目前にして、茶店に誘惑され、わらび餅タイム。

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二月堂、相当カッコいい。
二月堂から、長池脇を通って大仏殿の裏手に出る。柱の礎石を見ながら「あ、これが『鹿男あをによし』で鹿と出会う場所じゃない?」と浮かれる。明日、正倉院展に行くから、ついでに正倉院もチラ見しておこうと思ったけれど来年10月末まで外構工事中。
バスで近鉄奈良駅へ戻ってからぶらぶら歩いてホテルへ。

翌日は7時チェックアウト。近鉄奈良駅のコインロッカーに荷物を預けて興福寺境内を散歩。南円堂脇に金柑がなってる!と思ったら橘の実ですって。初めて見た。

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春日大社に散歩に行こうとしたら、国立博物館の所に入場列用のテントがずらっと立ち並び、「入場待ち100分」のプラカードが用意されているので、ビビって入場列に並ぶ。まだ、先頭から50メートルくらいだったけれど、その後恐ろしい程増えていった。
初日なもので、マスコミの方がたくさん来ていて、読売新聞の取材を受ける。

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目玉の漆金薄絵盤と平螺鈿背円鏡は、うん、って感じ。ああいう目玉商品は写真がものすごく工夫して撮られるので、写真の方が美しく見えたりもする。竹そのままの横笛や、貴族の遊び道具や、写経生の借金申込書類なんかの方が面白かった。

2時間ちょっと見てから、こみち (id:kazenokomichi)さんに教えてもらった、「ごはんの間」というお店でランチ。

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これに天ぷらがついて750円。感じが良くて素敵なお店で女子率95%。

それから興福寺へ戻って国宝館へ。梵鐘がカッコいいとか、定慶の躍動感ステキとか、ついに阿修羅に会えた!とか浮かれていたら、あっという間に時間が過ぎて、若干焦りながら、東金堂と北円堂。無著菩薩像がまるでどこかで会ったことのある人みたいに見えた。如来様も運慶の作だったけれど、運慶は如来様よりも脇を固める人を作ったほうが絶対いいよ!なんて偉そうに思う。

近鉄で京都に戻って、15時6分の新幹線で帰る。17時新横浜着。
ぎゅうぎゅうと、やりたいことを全部やって、ものすごく充実して楽しかった。それでも、小田原を過ぎて、丹沢の見慣れた山の形を目にした時に、ほっとしたことも確かなんだ。