90億の神の御名

この世界のほんの些細なこと

2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

定義

紅いということはできない、色ではなくりんごなのだ。丸いということはできない、形ではなくりんごなのだ。酸っぱいということはできない、味ではなくりんごなのだ。高いということはできない、値段ではないりんごなのだ。きれいということはできない、美で…

不都合な真実

小学校時代の友人と「同窓会やろうか」という話が出ている。友人はとても張り切って「知ってる人全員に声かけるからね、まめも協力してね」と言う。 そんな折、LINEの友だち追加リストの中に懐かしい名前が飛び込んできた。小6から中1にかけて好きだった男の…

何とも言はばいへ

今月上旬、早稲田松竹でルキーノ・ヴィスコンティの「山猫」と「ベニスに死す」の2本立て上映があったので行ってきた。 上映時間が5時間を超える長丁場なので、クリームパンを持参して。 個人的に「山猫」の方が好みであった。オープニングの時点でもう、そ…

何も足さない。何も引かない。

「変わったものを見かけたら必ず食べてみる」とか「新商品は必ず試してみる」という人は結構いると思う。 友人の中にも、旅行で見かける度に「わさびラムネ」やら「くらげアイス」「イカ墨ソフトクリーム」などを嬉々として購入する者がいる。そして一口食べ…

孤独の肖像

「暮らすって物要りねえ」と、魔女の宅急便のキキもうんざりして言っていたけれど、一人暮らしを始めた頃は怖くなるほどお金がどんどん出て行った。 家電も一通り買い揃えなければならないし、電話加入権も高かった。 それで布団と包丁は実家からもらってき…

華麗なる裏切り

「その夜、愛と裏切りの幕があがる」というキャッチコピーをつけて、劇団四季が上演した三島由紀夫の戯曲「鹿鳴館」 その中にこんな台詞がある。 奥方様ほど巧く美しくおだましになる方はございませんわ。(中略) 裏切りの上に安楽に寝そべって、一生を送れ…

いい人どまり

ヤマダという、名前が平凡な割にアクの強い性格の友人がいる。 悪い奴ではないのだが、そのアクの強さ故、まるで女にモテない。 学生時代のある日、そんなヤマダを不憫に思った先輩たちがルノアールに集結し、ヤマダが女子にモテるための作戦会議が開かれた…

ロシアより愛をこめて

向こうも「日本人てわかんねーな」と思ってはいるだろうが、「ロシアって謎・・・」と思ってしまうのは、こんなニュースを見た時とか。何も1600人も死ぬことないじゃない。記録的猛暑のロシアでウォッカ飲んで行水、事故も多発 | 世界のこぼれ話 | Reutersそれ…

【/^o^\フッジッサーン】

高校生の頃、何かに取り憑かれたかのように夢中になって聴いていたアルバムが小沢健二の「LIFE」と筋肉少女帯の「レティクル座妄想」と電気グルーヴの「VITAMIN」だった。 「桃栗三年柿八年柚子は九年で成り下がる梨のバカ目が十八年」という言葉を覚えたの…

坊主憎けりゃ

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、と言いますね。 あのドラえもんだって、ねずみが嫌いすぎて「ねずみ」という単語を聞いただけでこんなにも飛び上がる。イソップ寓話を元に寺山修司が書いた「王様の耳はロバの耳」というミュージカルでは、ロバのような耳をした王…

死に至る病

クリームパンの記事数ももう70を超えた。つまりもう70個以上のクリームパンを食べているわけで、費やした金額は一体いくらになるのやら・・・。そのうち家が建つほどになってしまうのではないか・・・というのは冗談にしても、糖尿病が心配になる今日この頃…

地上の星

今日は神奈川県高校野球春季大会の4回戦。 朝から雨だったけれど、第一試合が横浜高校×桐光学園、第二試合が横浜隼人×慶應義塾という好カードで、昨年夏の甲子園で22奪三振を記録して世間を騒がせた松井くんが投げるということもあり、朝から球場にはたくさ…

VSOP

かなり童顔な方だ。 おかげで25歳になっても居酒屋に入るときは身分証の提示を求められたし、ファミレスに22時を過ぎて滞在しようものなら「失礼ですがお客様・・・」と声をかけられた。 「童顔でさあ、困っちゃうよねー」とか言いながら、何にも困っておらず、…

小人さんいらっしゃい

面倒くさがりなもので「裁断した革を置いておくと、夜中に小人が出てきて、靴を作ってくれる」というグリム童話の「こびとの靴屋」という話が結構好きだ。 それで、若かりし日の私は母の手伝いをしながら事あるごとに「ああ、この洗ったお皿もこのままにして…

たまご その愛

2種類のクリームパンを置いて、クリームパンを可愛がっているお店、ボヌールの、もう一つのクリームパンは「愛たまごのふんわりくりぃむぱん」 こういう、サービスエリアに置いてあるお土産みたいな「ふんわりくりぃむぱん」とかいうネーミングってどうなの…

包丁一本

だってピアスとか、指輪とか、金属じゃない? 普段もなにかしら肌身離さずつけてるし(中略)皮膚と続いているような感じ?を抱いていたの。でもね、自分のバスローブのおなかに包丁がめりこんできたとき、心から、本当にはじめて感じたの。自分と金属がちが…

ヨネスケスキル

「突撃!隣の晩ごはん」も気付けば放送終了していたのだな。全く知らなかった。 今でもヨネスケは大きなしゃもじを背に全国のご家庭を走り回っているのだと思っていた。 「あんな風に急にテレビに来られたら困るよね!」と友達同士で、ヨネスケが来た場合のこ…

一番星ブルース

会社の給湯室から首都高を見下ろしていたら、通り過ぎるトラックの天井に「男 ひとり旅 女 帰り道」という一番星ブルースなメッセージが書かれていて、おお、と感心する。 最近時代が変わったせいか、あまりこういう浪花節文句をきかないけれど、私は割とこ…

思い出の中のごはん

毎日モノスヤさんのブログを楽しみにしているのだけれど、不思議なことにあのブログにはいつも、自分がここ数日食べたい、食べたいと思っていたものがタイムリーに登場する。 それから、無意識に食べたいと思っていたものも。 この前は春菊のスープが登場し…

死亡フラグ

※この物語はフィクションです。 うららかに春の陽射しがふりそそぐ住宅街の片隅に、カフェ併設のパン屋さんが可愛らしく佇んでいる。 店内は家族連れや恋人たちで溢れ、彼らは皆幸せそうな微笑みを浮かべ、穏やかな週末を楽しんでいるようだ。黒板に書かれた…

生きている身体

以前にNHKの「バレエの饗宴」でNoismというカンパニーのダンスを見て、心を奪われた。 それからずっと、いつか見たいと思っていたのだけれど、活動の拠点が新潟なのでそうそう見に行くこともできずにいた。 そのNoismの主宰者の金森穣の作品「Solo for 2」を…

愛だけでは

会社の近くのパン屋さんは、朝早くから開いていて、良心的なお値段のお惣菜パンがずらりと並んでいる上に、こんなレトロフレンチな紙袋に入れてくれるので、キュンとして思わずシルヴィ・バルタンなんか口ずさんでしまいそうになる。夕方にはほとんどパンが…

普通の女

「3びきのくま」という非常にシュールな童話があって、女の子が森の中で無人のクマの家を見つけ、勝手に中に入る。そこにはお父さん、お母さん、子供用に大中小のスープが並んでおり、女の子は勝手に「これがちょうどいいわ」とか言いながらスープを飲んで…

不安定な道しるべ

高校生の頃、大丸東京で開催されたパウル・クレー展に行って、この「不安定な道しるべ」という絵を初めて見た。 まるで自分の進路みたいだ、と思った。「進路」という言葉を最初に自分の人生に持ちだされたのは中学生の時だったけれど、その時から今に至るま…

お母さんの言うとおり

春なので、毎朝の通勤ラッシュがひどい。 まだ電車に乗り慣れない学生さんたちがおどおどと奇妙な位置に立ち止まったりするせいだ。おまけに彼らは部活動の用具やら何やらと、やたらと大荷物だ。 昨日もそんな大荷物に足元を阻まれてマトリックスな体勢にな…

悲しみよこんにちは

ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名前をつけようか、私は迷う。その感情はあまりにも自分のことだけにかまけ、利己主義的な感情であり、私はそれをほとんど恥じている。 フランソワーズ・サガン「…

ええじゃないか

スーパーの入り口ですれ違った親子連れの、小学校高学年らしき男の子は飛び跳ねながら言っていた。 「ええじゃないか!ええじゃないか!!」ええじゃないか - Wikipedia今日の今日まですっかり忘れていた、あまりに懐かしい響きに私は目を見開いてドラマティ…

怖いもの知らず

子供の頃は自分の住んでいる街が日本で一番大きいのだと思っていた。 いつも自分が使う駅を日本で一番大きな駅だと思っていたし、この街に住む人に悪い人は一人もいないと信じていた。 だからこそ、子供は無邪気だ、イノセントだと言われるのだろう。クリー…

野球の音

去年テレビを処分した。 スカパーが受信できない建物なので野球中継も見れず、テレビ自体ほとんど見なくなったし、何より、ベッドとテレビがぎゅっと置いてある自分の部屋がビジネスホテルの部屋のように見えてうんざりした。 それで今年のWBCもプロ野球もラ…

草食系

草食系男子、という言葉が生まれたのは2006年の事だそうだ。 まるで大発見のように世の中が「最近の男はガツガツしていない!」と騒ぎ立て、女たちは「草食系とか、ないわー!」と憤っていたが、男の子がガツガツしていない事は、そんなに新しい発見であろう…